2012年03月31日00時37分掲載  無料記事
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人権/反差別/司法

東京パブリック法律事務所 外国人部門 ニュースレター 第5号

  東京パブリック法律事務所 外国人部門 ニュースレター 第5号(2012年3月30日発行) 
 
■■【1】 はじめに ■■ 
 
このニュースレターでは、外国人の方々の司法アクセス障害の解消を目指す東京パブリック法律事務所外国人部門の活動をご紹介させていただいています。 
 
 
■■【2】 無料相談会(1月15日開催)のご報告 ■■ 
 
1月15日にNPO法人COMPASS様との共催で開催した、外国人のためのリレー専門家相談のご報告です。当日は23名の方が訪れ、相談室は常に満室の状態でした。相談者の国籍はアメリカ5名、ペルー4名、日本4名、中国語2名他、相談内容は在留資格や離婚等家族関係、労働、交通事故、国籍等多岐にわたりました。日本語以外の使用言語は英語(11名)、中国語(3名)、韓国語(1名)、スペイン語(4名)でした。 
COMPASS様には多大なご協力をいただき、この場をかりて御礼申し上げます。好評につき、来年度も2月3日に開催される予定となっています。 
 
■■【3】当部門に皆川弁護士が加わりました! ■■ 
 
1月から外国人部門に加わりました、皆川涼子です。入所して早3ヶ月、毎日忙しく過ごしています。HPや大使館など様々な媒体を通して、入所前に想像していた以上に多数の相談が寄せられていることにまず驚いています。外国人の方が紛争を抱える場合、言葉の壁があるゆえに本人で対応するという途が極めて限られ、かつ通訳費用・翻訳費用が自己負担になるため日本人以上に費用的にも制限を課されることになる、ということを相談を受ける中で日々感じています。外国人の方のトラブル、それによるストレス等を少しでも軽減できるよう努めていきたいと思います。 
 
■■【4】 活動報告 ■■ 
 
◆鈴木雅子弁護士◆ 
・2月29日、同月10日に締結された日弁連・法務省・なんみんフォーラム(FRJ)の三者間覚書に基づく、難民行政に関する第1回三者会議に参加しました。今後、1・2か月に一回のペースで三者会議が行われる予定です。 
・3月11日、イエズス会社会司牧センターにおいて、改正入管法・説明会講師を務めました。 
 
◆金秀玄弁護士◆ 
・フィリピン残留日本人就籍弁護団に加入しました。 
・平成24年度東京弁護士会外国人の権利に関する委員会の副委員長を務めます。 
・5月21日と9月22日、東京外国語大学で講義をすることになりました。 
 
◆川本祐一弁護士◆ 
・2月29日、同月10日に締結された日弁連・法務省・なんみんフォーラム(FRJ)の三者間覚書に基づく、難民行政に関する第1回三者会議に参加しました。 
・3月1日 日弁連の国際関係業務を担当する国際室の嘱託業務(パートタイム)を開始しました。 
・3月12日 外国人ローヤリングネットワーク(LNF)の活動の一環として、弁護士を対象に「在留資格」の講義を行いました。 
 
◆皆川涼子弁護士◆ 
・2月25日、大田区多文化共生推進センター主催の多言語相談会に参加しました。 
・2月27日に出版された『東日本大震災と外国人移住者たち』(明石書店)に寄稿しました。 
 
◆谷口太規弁護士◆ 
・品川近辺に新たな外国人法的支援の拠点を作るべく、その準備活動に駆け回っています。外国人部門の新たなステップとなる予定です。次のニュースレター発行時には詳細をお伝えしたいと思います。乞うご期待! 
 
■■【5】改正入管法について ■■ 
 
 今年7月9日から、在留カードによる新しい在留管理制度が始まります。在留カードの導入により今までの外国人登録証明書はなくなりますが、在留カードは外国人登録証明書と全く同じものではありません。本ニュースレターでは、数回に分けて改正入管法についてお伝えしていきたいと思います。今回は、在留資格なく滞在している外国人の方についての注意点です。 
 
  在留カードをもらうことができるのは、3ヶ月を超えて中長期的に在留資格をもって日本に滞在する外国人が基本です。ですので、在留資格なく日本に滞在している外国人はこの在留カードをもらうことができません。これまでは在留資格がない外国人であっても、外国人登録がされていれば、登録されている自治体で教育や医療にかかわる行政サービスを受けることができました。 ですが、7月9日以降は、在留カードの対象外となる在留資格のない外国人の方は、役所が生活状況を把握できないためにこれまで受けてきた医療・教育等のサービスを受けられなくなることも考えられます。もし役所でそのような対応をされた場合には、是非弁護士に相談してください。 
 
■■【6】豆知識講座 第4回「在留特別許可」■■ 
 
  例えば、オーバーステイの外国人が入管に収容されてしまい、退去強制手続きが始まってしまったとします。原則で考えるとその人は在留資格がないので、日本から本国へ帰らなければならず、退去強制令書というものが発布されます。しかし、一定の場合には、在留を特別に許可され、その人の地位に見合った在留資格が付与されることがあります。これが「在留特別許可」といわれるもので、「在特(ザイトク)」などと呼ばれたりしています。どんな場合に在特が出るかというと、典型的には日本人や永住者と婚姻している人、日本人との間に生まれた子の親である人、一定期間以上日本に在留している人などです。 
 
  入管は、「在留特別許可に係るガイドライン」というのを公表していて、どのような要素が考慮されるのか、参考にすることができます。弁護士が在特案件にかかわる場合は、依頼者に有利な証拠を早期に収集提出し、証拠や供述の信用性を高める書面を提出するなど、在特獲得のための活動を行います。本来在特が認められるべき事案で不許可となったケースでは、入管の処分を裁判で争うことになります。 
 
■■【7】東日本大震災関連ニュース ■■ 
 
  東日本大震災の発生に伴い、外国人の方について様々な特別措置が取られています。主な例を以下に挙げますのでご参照ください。詳しくは入国管理局ホームページをご覧ください。 
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisai0001.html 
 
◆出国事実の照会 
被災地域にいた家族による出国事実の照会が可能になっています。 
 
◆入管・外国人登録の各種手続窓口 
避難先の最寄りの入国管理局窓口・市区町村窓口で行うことが可能になっています。 
 
◆在留資格認定証明書交付申請の有効期間の伸張 
在留資格認定証明書交付申請の有効期間は通常3ヶ月ですが、その他の立証資料等から在留資格の該当性について変更のないことが確認されるときは、有効な証明書として取り扱われます。 
 
◆その他出国した留学生、技能実習生の特別措置などが取られています。 
 
■■【8】 お知らせ ■■ 
 
◆外国人部門ブログ更新中です!◆ 
  当部門では、所属弁護士の日々の活動や、関連する豆知識等を紹介するブログを更新しています。お時間のあるときにぜひお読みください。 
↓ ↓ 
http://blog.livedoor.jp/slaf/ 
 
◆Japan Times紙に連載中です!◆ 
 
  当部門ではJapan Times紙の法律相談のコラムを担当しています(原則毎月第二木曜日)。ウェブ上でも公開されていますので、是非ご覧ください。 
 
■■【9】 お問い合わせ ■■ 
 
東京パブリック法律事務所 外国人部門 
03−5979−2880(部門直通)【受付時間午前9時30分〜午後5時15分】 
E-mail slaf@t-pblo.jp 
HP http://www.t-pblo.jp/slaf/j/(日本語版) 
     http://www.t-pblo.jp/slaf/(英語版) 
 
弁護士 鈴木雅子、弁護士金 秀玄、弁護士 川本祐一、弁護士皆川涼子、弁護士 谷口太規 


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