2012年03月31日18時15分掲載  無料記事
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アジア

ミニスカートの女性を摘発へ インドネシアでポルノ対策機動部隊めぐり議論沸騰

  インドネシアで3月に設置されたポルノ対策機動部隊が本格的に始動する。膝上丈のミニスカートは「ポルノ」にあたるとして取り締まりの対象となる。3月初めに女性国会議員が職務中にミニスカートを着用することを禁止する規定の制定をめぐる議論が起こったのに続いて、女性の権利と公共道徳をめぐる論争が巻起こっている。(クアラルンプール=和田等) 
 
 機動部隊は2008年に施行されたポルノ対策法に基づいてユドヨノ大統領が設置した。地元英字紙ジャカルタ・ポストによれば、部隊の元締めを務めるスルヤハルマ・アリ宗教相は、この解釈は文化的な背景にかかわりなく、すべての宗教に適用される普遍的な解釈であると語った。 
 
 ポルノ対策法では、芸術や踊り、音楽、詩を含めて作品や身体の動きが卑猥とみなされるものや公共道徳を侵害する可能性があると判断される対象を作り出した者を罪に問うと規定している。同法に基づいてすでにダンサーやストリッパー、女性とのセックス・ビデオがインターネットなどを通じて流出した人気男性シンガーが逮捕され、シンガーには禁固刑が下っている。 
 
 しかし、同部隊による摘発計画に対しては政治家や活動家からの激しい批判が巻き起こっている。プリヨ・ブディ・サントソ国会副議長は、この解釈は行きすぎだとして、次のように語った。 
「女性議員が憤りを覚えるのは必至。機動部隊は女性のスカートのことで騒ぎ立てるべきではない。人がどう振舞うべきかを注視して、原則に基づいてポルノを定義しなければならないと思う」 
 
 また女性に対する暴力に関する全国委員会のマスルチャ副委員長は、同部隊の計画は女性の権利を侵害するものと批判。政府には文化や宗教の多様性を尊重する義務がある、と主張する。 
 
 さらに同副委員長は「性的な嫌がらせや暴行はポルノが入手できるかどうかや女性の服装の選択とは何の関係もない。レイプに関するデータをみても女性の服装とは関係のないことが示されている。非常に控えめな服装をしていた女性が多数レイプされているという事実をしっかり見据えるべきだ」と強調している。 
 
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