2012年06月18日11時19分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201206181119151

コラム

オウム真理教と私      鬼塚忠

  先週、オウム真理教の菊池直子容疑者と高橋克也容疑者が逮捕され、オウム事件の指名手配犯のすべてが逮捕された。両容疑者の自供により今から明らかになることも多いだろうから、ふたたびオウム関連のニュースがメディアを賑わすだろう。 
 
  実はオウム真理教と私は接点がある。 
  1988年、タイのバンコクにいた時に、私はなぜか「私は悟りが開けるかもしれない」と思い立ち、ブッダが悟りを開いたというインドのブッダガヤへ行くことにした。 
  ブッダが悟りを開いたとされる菩提樹は全世界の仏教徒の聖地で、各国の出先寺院があった。そこに世界中から修行者たちが集まり、その国の寺院で寝泊まりしながら修業する。私はビルマ寺で修業をすることにした。日本寺は宗派などややこしい決まりがあり、入れない。ビルマ寺は当時、ビルマ自体が鎖国状態ということもあり、ビルマの僧たちは国外へ出られなかったのだ。なのでビルマ寺は世界にの人たちを受け入れ、雑多な国の人間が集まって修業していた。私はそこで一週間、寝泊まりしながら瞑想していた。 
 
  インドでの修業は難しい。 
  食事が極端に質素で、とにかくお腹がすいてどうしようもなかった。さらにベジタリアンの食事で動物性たんぱく質を摂れなかったので、いつも肉を食べることを夢想していた。恥ずかしい話だが、瞑想している間もそうだった。 
 
  ある日、ビルマ寺のビルマ僧とブッダが悟りを開いたとされる菩提樹へ行った。するとなんとその菩提樹の下には麻原彰晃が瞑想していたのだ。当時はまだ選挙に出る前で、麻原彰晃はそれほど知名度は無く、座禅して空を飛ぶことで、一部の間で有名だった。今でも忘れない、麻原彰晃のまわりには踊り組が踊り、その周辺には、上祐史浩など、その後有名になる幹部が揃っていた。 
  そのとき、私の横にいたビルマ寺の僧が麻原彰晃を見て、奇妙なことを言った。 
 
「うぉー、このお方はすごいマインドパワーがある」 
 
  この僧は麻原彰晃をはじめて見たのにである。もちろん予備知識はなにもない。だから本当に何かを持っているのだ。 
 
  その話を、寺に帰ってもう一人の日本人の修行者にしたところ、すごく興味を持ち、麻原彰晃の宿泊する宿へ本人に会いに行ったのである。その際に私も、一緒に行かないかと誘われた。しかし私は夜ということもあり、しぶしぶ断った。インドの夜は本当に真っ暗で歩けないほどなのだ。 
 私は興味心だけは人の何倍もあり、意味不明なところには必ず首を突っ込む習性がある。しかしなぜかこの時だけは行かなかった。 
  そしてこの日本人はそのままビルマ寺に返ってこなかった。おそらくそのまま洗脳されて入信したのだろう。あの時、私も麻原彰晃に会いに行ったら、そのまま入信しなかったとは言えない。 
 そう思うと、オウム真理教の事件は他人事でないような気がして、かじりつくようにテレビや新聞の情報を見てしまうのだ。 
 
鬼塚忠  (作家・出版エージェント) 
「アップルシード・エージェンシー」代表 
http://www.appleseed.co.jp/ 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。