2012年07月14日11時34分掲載  無料記事
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アジア

グスマン首相続投の可能性濃厚に 東ティモール国会議員選挙、平和裏に終了

  5月に独立(主権回復)から10周年を経た東ティモールで7日、国会議員選挙(議席数65)の投票が実施され、独立運動の英雄シャナナ・グスマン首相が率いるティモール再建国民会議(CNRT)が第一党となった。グスマン氏は首相続投への自信を表明したが、同党は過半数の議席は獲得できず連立政権になる可能性が高い。(クアラルンプール=和田等) 
 
 登録有権者数約64万5000人、議席数65対して21の政党が乱立して議席を奪い合う展開となったが、国連東ティモール統合ミッションのリスケ・ニールセン特別代表は「選挙運動期間中にあえて言及におよぶような暴力事件は発生せず、投票も概ね順調におこなわれた」として、東ティモールに民主主義が根付いていくかどうかを占うリトマス紙ともいえる、このたびの選挙の過程に満足の念を表明した。 
 
 選挙管理委員会が13日に発表した総選挙の最終結果によれば、ティモール再建国民会議(CNRT)が得票率37%で30議席を獲得し、第一党となった。前回2007年の総選挙時の獲得議席数18から大幅に議席を伸ばしたが、過半数の獲得にはいたらなかった。 
 
 前回総選挙で比較第一党だった最大野党、東ティモール独立革命戦線(フレティリン)は得票率30%で25議席を得た。前回の21議席より議席数を増やしたものの、第2党に転じた。 
 
 このほか民主党が8議席、フレティリンから分裂した新フレティリン(フレティリン・ムダンサ)が2議席を得た。候補者を立てた21政党のうち議席を得たのはこれら4政党だけにとどまった。 
 
 7月17日に正式に発表される選挙結果を受け、連立政権の枠組みを決める駆け引きがおこなわれるので、新政権が発足するまでには2、3週間かかる見込み。 
 
 65議席をめぐって21もの政党が乱立したことから票が分裂して政局流動化の要因になるのではとの懸念もあったが、オーストラリアのスウィンバーン大学のマイケル・リーチ教授は、同国の公共放送ABCに対して「このたびの選挙の結果は、東ティモールに政党制が根付きつつあることを示している。CNRTとフレティリンという2大政党に加え、第3勢力となる政党が一定の議席を得るという、民主主義構築に向けて好ましい結果になったともいえる。今後、有権者の支持は立ち位置をより明確にしている少数の政党に集約され、公約や立場があいまいな政党は自然淘汰されていくとみられる」とコメントしている。 
 
 東ティモールの治安維持にあたってきた国連警察など約1300人の人員は今年末までに撤退する予定になっているが、一部には「東ティモールを不安定な状態にしておいた方が都合がいいと考える勢力も存在するので、暴力事件が再発する恐れがある」と懸念する声もあがっている。 
 
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