2012年07月19日15時30分掲載  無料記事
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検証・メディア

英国テレビの面白さ −五輪運営を笑う「Twenty Twelve」

 ロンドン五輪の運営準備がいかにハチャメチャかを鋭いユーモアで包みながら描く、英国のテレビ・コメディ「Twenty Twelve(2012)」が話題だ。もともと、BBC4というデジタルチャンネルで夜遅く放映されていたのだが、次第に人気が出て、今はもっと一般的な視聴者向けのBBC2というチャンネルで放映中だ。(ロンドン=小林恭子) 
 
 英国の架空の五輪運営委員会が大会開催に向けて準備する様子をドキュメンタリータッチで描いているのだが、これがものすごくリアルなのだ。(こういう作り方をモキュメンタリー Mockumentaryと言うそうだ。)開催直前の24日が最終回の放送となる。 
 
 言葉の使い方とか、表情、だめさ加減があまりにも本物らしいので、見たくない人もいるかもしれない。 
 
 例えば、運営委員会で働く人がオフィスの中に入ろうとするが、セキュリティーの設定があまりにもハイテクで、中に入ることができない。市内の交通を調整する担当者は、五輪競技場までバスで視察するのに、道を間違えてしまう(これは実際に、発生した)。広告・宣伝担当者は意味不明の専門用語ばかり使って煙に巻き、出席者は何が決まったかが分からないまま、会議が終わってしまう。失敗続きの悲惨な状態だが、委員会のトップは「すばらしく良好だ。まったく問題はない」とカメラに向かって話すー実際、こういう話し方を政治家や高級官僚がよくするのである。あまりにも実態と離れているので、まるでパラレルワールドに住んでいる気がするときがあるが、そういう「?」感をドラマはうまく再現している。 
 
 最近の放映分では、競技の開始に使うピストルの安全性を確認している間に、実弾が入ったピストルが火を噴いてしまい、委員長が怪我を負ってしまう。しかも、このピストルを手に持っていたのは、ロンドン警視庁のNO2だ。 
 
 「自分のだめさ加減を徹底して笑う」ドラマといえよう。 
 
 ちなみに、主演は「ダウントン・アビー」(日本ではCSで放送)でグランサム伯を演じたヒュー・ボナビルである。 
 
 
 実際の五輪関係のニュースを見ていると、これって、あのドラマに出てきたことでは?と思ってしまったりする。終わるのが惜しいシリーズである。 
 
 ほかに最近、話題になったのは、刑事もの「Wallander」(「刑事ヴァランダー」もともとはスウェーデンの小説。スウェーデンでもテレビ番組化された)、歴史もの「ヘンリー4世」、ともにBBC。 
 
 スカイテレビでは、以前、米官邸を舞台にした大人気のドラマ「ウェストウイング」(邦題「ザ・ホワイト・ハウス」)を作ったアーロン・ソーキン(映画「ソーシャル・ネットワーク」の脚本を書いた)の新ドラマ「ザ・ニューズルーム」が話題に上った。この番組の評価は散々であった。どうも真実味が足りないらしいー本当らしく見えない、と。(ブログ「英国メディア・ウオッチ」より) 
 
番組のウェブサイト http://www.bbc.co.uk/programmes/b01f87nh 


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