2012年07月22日13時05分掲載  無料記事
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アフリカ

【西サハラ最新情報】西サハラ難民キャンプから誘拐された3人の支援活動家が無事に解放!  平田伊都子

 2012年7月18日、誘拐されていた3人の西サハラ難民支援活動家がマリ北部で解放されました。写真は左からエンリコ.ゴンヤロンス(スペイン)、ロッセジャ.ウッル(スペイン)、アインホア.フェルナンデス、3人はそれぞれ別の西サハラ難民支援団体に属していて、難民キャンプで短期の活動をしていました。誘拐から解放までの経過を以下に報告します。 
 
(1)2011年10月22日真夜中、2台の4輪駆動車が西サハラ難民キャンプ.センターに突入。数人の武装集団が銃を乱射しながら3人のヨーロッパ人を連れ去った。3人のうち、男性一人が負傷していた。武装集団は3人を人質にとってマリ北部方面に逃走した。 
 
(2)西サハラ政府は誘拐事件を非難し、犯人グループの逮捕と人質即解放をマリ政府に迫った。 
 
アルジェリア政府とスペイン政府とイタリア政府は、人質の無事解放を誓い、国際社会に協力を要請した。モロッコ政府は「西サハラ政府がテロリストグループ.アキムAQIMと共謀し、自作自演した偽造誘拐だ」との捏造情報を流した。AQIM(Al-Qaeda in the Islamic Magreb )とはマグレブ.イスラムのアルカイダを意味する。マグレブは北アフリカを指す地名である。 
 
(3)2011年12月22日、ブハリ西サハラ国防大臣が事件の経過を第13回西サハラ民族大会で次のように報告した。「誘拐犯はマリ国籍の6人で、麻薬犯罪組織にかかわっているラムハル族に属している。彼らはこの犯罪組織から情報や武器やその他の支援を受けている。我々は人質解放に向け関係筋と交渉を進展させている」 
 
(4)2012年5月10日、アブド.ル.アジズ西サハラ大統領はスペイン紙ABCのインタヴューで次のように答えた。「誘拐犯の目的は営利と売名だ。モロッコは独立運動を目指す西サハラ政府をこれらテロリスト犯罪グループの一員であるかのように宣伝工作をしている。が、我々の目的はこの地域で、男女平等、言論自由、人民主権を保証する、民主国家を構築することだ」 
 
(5)5月、人質解放交渉団と誘拐犯人組織MUJAOとの交渉が成立。3人の開放に対し<逮捕された犯人2人の解放+身代金>が条件だった(AFP発)。MUJAO(Movement for Oneness and Jihad)とはAQIMの傘下にあるイスラム過激組織で、マリ北部やモーリタニアに展開していると言われている。身代金に関してジルバート解放交渉団長はノーコメントだ。 
 
 かくしてめでたくヨーロッパの活動家3人はマリのガオで解放され、ブルキナファソから帰国の途につきました。その頃すでに、犯人2人は逮捕されたモーリタニアを出国し祖国マリで3人解放のニュースを聞いていたそうです。誰よりも3人の解放を喜んだのは、祖国の独立を目指す西サハラの人々です。西サハラの人々にテロリストのレッテルを貼り軍事掃討を図ろうとした占領国モロッコは、虚偽と陰謀を国際社会に白状し謝罪すべきです。 
 
写真:西サハラ難民キャンプから誘拐された3人の人質が9か月ぶりに解放(SPS提供) 
 
WSJPO 西サハラ政府.日本代表事務所 
所長:川名敏之 
SJJA(サハラ.ジャパン.ジャーナリスト.アソシエーション) 代表:平田伊都子 


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