2012年08月07日14時29分掲載  無料記事
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スポーツ

英紙記者がツイッターのアカウント使用を停止された顛末

 ロンドン五輪と情報発信が簡易なツール、ツイッターが絡んだトピックが話題をさらっている。ツイッターの送信数が多すぎて、競技に支障が出たという話と英紙記者のツイッターアカウントが停止された件を追ってみた。(ロンドン=小林恭子) 
 
 CNNジャパンの報道(「五輪ツイート多過ぎで障害、「緊急時限定」の呼びかけも」)によると、7月28日に行われた自転車男子ロードレースで問題が発生した。「GPS(全地球測位システム)と通信システムに障害が発生し、選手間の距離が判定できなかった」という。 
 
 引用:国際オリンピック委員会(IOC)広報のマーク・アダムズ氏は英紙ガーディアンの取材に対し、原因はツイッターや携帯メールが過剰に使われたことにあるとの見方を示した。五輪の映像を各国のテレビ局に配信するオリンピック放送機構(OBS)は、ネットワークの問題を解決するため負荷分散に努めているという。 
 
 アダムズ氏は「ソーシャルメディアの利用をやめさせたいわけではない。ただ、送信は緊急時のみとするよう配慮してもらえればと思う」とも付け加えた。 
 
 一方、IOCの別の広報担当者はCNNに宛てたメールで、ネットワークの障害により一部のデータが放送局に配信できなかったと説明。ただ、記録の計測や競技結果に影響が出ることはなく、29日の自転車女子ロードレースまでに問題は解決されたとしている。観客に対しソーシャルメディアの利用を控えるよう呼びかけたとの情報については「事実とは思えない」と話した。(引用終わり) 
 
 
 もうひとつは、英インディペンデント紙の米ロス支局員ガイ・アダムスのツイートの件だ。米NBCの五輪放送責任者ガリー・ゼンケルの電子メールアドレス(局の公式アドレス)に抗議のメールを送ろうとツイッターで呼びかけ、ツイッター社がアダムスのアカウントを使えなくしたという。 
 
 アダムスは、ツイートの中で、ロンドン五輪の開会式の生放送が、米国の西海岸ではすぐには放映されず、6時間後の放映となったことに問題を呈した。 
 
 以下のようなツイートを流したという。 
 
"America's left coast forced to watch Olympic ceremony on SIX HOUR time delay. Disgusting money-grabbing by @NBColympics." (米国の左岸地域は五輪開会式を6時間もの遅延のあとで視聴を余儀なくされた。@NBColympicsは最低、強欲) 
 
"I have 1000 channels on my TV. Not one will be showing the Olympics opening ceremony live. Because NBC are utter, utter bastards."(私のテレビは100ものチャンネルがある。どれも開会式を生放送していない。それはNBCが本当に、完璧にろくでなしだからだ) 
 
 NBCは米国での五輪公式放送局となっており、高額の放送権料も払っている。西海岸でゴ−ルデンタイムとなる時間に流せば(たとえ生放送の時間よりはかなりずれても)、広告などでお金をがっぽり稼げる・・というのが、アダムスがNBCを「強欲」と呼ぶ理由のようだ。 
 
 ツイッター社は、他者の個人および秘密の情報を流すことを禁じる規約に違反したとして、アダムスのアカウントを使用停止にした(ガーディアン報道)。 
 
 NBCはアダムスの一連のツイートについてツイッター社から連絡を受け、停止を求める依頼をツイッター社に行い、これが受け入れられた、という経過だったようだ。 
 
 アダムスのページの最新コラムを見ると、「ツイッターアカウントをまた使いたい」とあるが、読者のコメントには、「ツイッターなんかに戻るな」という声も。 
 
 米ジャーナリスト、ダン・ギルモアは、ツイッターとNBCが五輪ビジネスで提携関係にあることが、今回のアカウント使用停止と関係があるかもという疑念を指摘している。 
 
 その後、ツイッター社はこの件で謝罪し、現在までにアダムス氏のアカウントは利用可能になっている。 
 
、日本との比較で思ったことだが、英国の場合、アダムス記者の所属先インディペンデント紙は同記者支持で動いている。日本だったら、謝罪、およびトカゲの尻尾きり状態になるかもしれないのだがー。(ブログ「英国メディア・ウオッチ」より) 
 
 (ちなみに、別人の話だが、CNNジャパンは「アダムズ」を使っているが、私はインディペンデント記者の話で「アダムス」としてみた。どう聞こえるかによるだろう。) 


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