2012年08月14日13時02分掲載  無料記事
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アフリカ

【西サハラ最新情報】 スペイン政府、西サハラ難民支援を続けるスペイン人の支援者に撤退命令  平田伊都子

 2012年7月27日、スペイン政府はアルジェリアにある西サハラ難民キャンプで活動する人道支援者たちに帰国命令を出しました。1975年に難民テントを張って以来初めての非人道的な退去命令に、戸惑ったのは難民たちとスペイン人支援者たちでした。帰国命令の理由は2011年10月に起きたスペイン人とイタリア人合わせて3人の誘拐事件です。3人は無事解放されましたが、スペイン政府は誘拐犯たちの存在を懸念して今回の処置に踏み切りました。スペイン支援団体、国連、そしてスペイン政府の撤退処置を大歓迎するモロッコ王国の動きを報告します。 
 
(1)2012年7月30日、コルカスCORCAS(モロッコ王室サハラ問題諮問機関)はマリ北部に展開するムジャオMUJAO(西アフリカ殉教連帯運動)なる組織が3人を誘拐したと伝えている。その組織のスポークスマンと称するアブ.ワリド.サハラウィは元西サハラ活動家で、彼の言によると十数の西サハラ難民青年が配下にいるとのことだ。コルカスはアルジェリアにある西サハラ難民キャンプを北アフリカ.テロ組織の温床と主張している。 
 
(2)2012年8月7日、アハバール.アル.ヤウム(モロッコのカサブランカで発行している日刊紙)によると、サルコジ元フランス大統領が<経済担当モロッコ王特別顧問>に就任するらしい。狙いは西サハラ天然資源で、EUやフランスの仲買人になって儲けようという腹だとか? サルコジは大統領時代に王から数回以上にのぼるモロッコ旅行接待を受けている。 
 判明しているだけでも2007年7月、2008年3月、2008年7月、2009年12月、2010年12月と記録が残っている。もちろんすべて無料で、マラケシュには別荘まで貰っている。 
 
(3)2012年8月8日、ミヌルソMINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)のチンドウーフ支部長オマル.バシール.マニス(スーダン人)が、西サハラ難民キャンプ内で働く外国人スタッフ30人はキャンプから撤退しないことを表明した。 彼らはMINURSOやUNHCRや 
WFPなど国連傘下の職員たちだ。チンドウーフはアルジェリアの最北西端にあるアルジェリア軍事基地で、ここから約50キロ砂漠に入ったところに西サハラ難民キャンプがある。 
 
(4)2012年8月7日から10日にかけて、スペインの様々な支援団体代表がアルジェリアにある西サハラ難民キャンプを訪問した。約30人のスペイン人道援助活動家たちは西サハラ難民に早期の活動再開を約束した。ホセ.タボアダ訪問団団長はスペイン政府に活動家たちの難民キャンプ撤退の解除を要請した。西サハラ難民を支援するスペインNGOは300団体ほどあり、そのうちのいくつかは常駐員を置いてきた。その常駐員に帰国命令が出た。 
 
 1884年頃から1975年にモロッコが侵略するまでの約91年間、西サハラを植民地支配していたのはスペインでした。スペインが西サハラ住民や国連や国際法を無視して西サハラ領土をモロッコなどに売り飛ばしました。西サハラ領土問題の法的な決着をつけず、西サハラ人の民族自決権を踏みにじった罪をスペインは償わなくてはならないと思います。心あるスペインの人たちは中央政府に抵抗してでも西サハラ難民を助けてきました。西サハラ難民の子供たちは、私たち日本人に対してでも外国人とみると「オラ!(スペイン語でオスの意味)」と声をかけてきます。 
 
 一日も早くスペインの活動家たちが子供たちのもとに帰れますよう、、 
 
 
WSJPO 西サハラ政府.日本代表事務所 
 所長:川名敏之 
 
SJJA (サハラ.ジャパン.ジャーナリスト.アソシエーション) 
 代表:平田伊都子 


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