2012年08月20日23時54分掲載  無料記事
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核・原子力

原子力ムラで固めた規制委員会人事に市民が猛反発、大飯再稼働に加えてこの人事、どこまで国民を愚弄しているのか  上林裕子

 大飯原発の再稼働をめぐって人々が集まる毎週金曜日の官邸前行動だが、再稼働に加えてこのところの緊急の課題は「原子力規制委員会人事」だ。『利用と規制の分離』をめざして原子力ムラからの決別のために新たに設置されることが決まった規制委員会の委員長・委員候補として細野剛志原発担当相が示したのは、委員長候補に前原子力委員会座長代理の田中俊一氏、委員候補に更田豊志・(独)日本原子力研究開発機構原子力基礎工学研究部門副部門長、中村佳代子・日本アイソトープ協会プロジェクトチーム主査など、委員長以下3名が原子力ムラそのものだった。この国民を愚弄しているとしか思えない規制委員会人事に対し市民は猛反発しており、金曜日の官邸前に「規制委員会人事反対!」の声が響く。 
 
 新たな原子力規制の要となる原子力規制機関の検討は6月初旬衆議院環境委員会で始まり、環境省の外局として原子力規制庁を置く政府案と、省庁から独立した原子力規制委員会とする自公案が提出され、自公民の3党で修正すり合わせを行い、自公案を軸とした原子力規制委員会とすることが決まった。 
 
 市民団体は「最も大切なことは『原子力ムラ』とのかかわりを断つこと」であり、規制委員は、「原子力関連会社との利益相反がない学者や専門家であり、電力会社や原子力関連会社との関係性がない」など経歴に関する制限が必要と指摘していた。 
 規制委員会設置法第7条7項3号では「原子力に係る精錬、加工、貯蔵、再処理もしくは核原料物質もしくは核燃料物質の使用を行う者」は委員に就任することはできない、と明記してある。 
 
 しかし、更田氏は「もんじゅ」を運営する日本原子力研究開発機構の現役の職員であり、中村氏も日本アイソトープ協会の現役の職員であり、明らかに設置法に違反する人事案である。田中氏は日本原子力研究開発機構の副理事長、原子力学会会長、原子力委員会委員長代理などを歴任、現在は日本原子力研究開発機構の系列組織である高度情報科学研究機構の顧問である。5人の委員のうち3人までが原子力ムラというこの人事、本当に国民を愚弄しているとしか思えない。 
 
 なぜこのような人事案になったのか、だれが決めたのか…超党派の国会議員で組織する「原発ゼロの会」は8月7日、内閣府内閣官房原子力安全規制組織等改革準備室を呼び、説明を求めた。同準備室によると委員長候補の田中俊一氏については〆挂鄲膺辰決めた田中氏は3.11事故後すぐに謝罪と反省の態度を明確にしたA瓩から福島に入り、除染に努力した、などが選任の理由と思うと述べた。更田氏に関しては、日本原子力研究開発機構は独立行政法人であり、事業者ではない。また、規制法第7条7項3号は兼業を禁止しているもので更田氏は就任までに辞職すると言っているので問題はない、との見解を示した。しかし、兼業の禁止に関しては同法第11条に書き込まれている。この説明はおかしい。 
 
 日本弁護士連合会、脱原発弁護団全国連絡会は更田氏、中村氏は明らかに規制法第7条7項3号に該当する欠格要件であると指摘する。「原子力事業者」とは原子炉等規制法第58条第1項において「精錬事業者、加工事業者、原子炉設置者、外国原子力船運航者、使用済燃料貯蔵事業者、再処理事業者、廃棄事業者及び使用者」と定義されており、日本原子力研究開発機構やアイソトープ協会も事業者に当たるとしている。 
 
 この人事案は国会同意人事なので、今週中にも衆参両院を通過し、成立してしまいそうな勢いだ。市民団体は何とか阻止したいと、懸命のロビー活動を展開している。現在衆参議員53名が人事案に反対を表明しているが、状況は厳しい。 


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