2012年10月09日11時42分掲載  無料記事
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アフリカ

【西サハラ最新情報】アフリカ最後の植民地・西サハラと国連総会  平田伊都子

 2012年度第67回国連総会が、例年のように9月第3火曜日から始まりました。一般討論演説では各国首脳や代表が、勝手気ままに勝手なことを勝手な時間で、しゃべりまくっていました。国連の演壇は、カラオケではありません。 
 
(1)経済諸大国が、結局自国の利益を主張したに過ぎなかったお粗末な一般討論演説に比べ、発展途上国のそれは、国連憲章にのっとった、聞きごたえのあるものだった。1991年に国連が約束した<国連西サハラ住民投票>を促す演説が、南アフリカ大統領,ナムビア大統領、モザンビーク外相、アルジェリア外相、ウルグアイ外相、タンザニア外相、アンゴラ外相などから続出した。 
 
(2)9月28日、モロッコ国王が自ら国連総会の演壇に立った。 握ったマイクを長時間独占し、「モロッコは国連安保理が認めたMINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)と協議する意向は残している」としつつも、「モロッコ・サハラ(モロッコ独自の西サハラ呼称)はモロッコ領土であり、モロッコの地方州として扱うのが一番」と、モロッコの西サハラ領有権を主張した。 国連一般討論演説はその国の政治首脳が行うもので、モロッコは長期王権独裁国家であることを、奇しくも露呈した。 
 
(3)10月5日、元米外交官クリストファー・ロス国連事務総長西サハラ個人特使と西サハラ特別代表の両名が、「11月、暗礁に乗り上げている西サハラ交渉の現状と、モロッコ占領地・西サハラでのMINURSO(国連西サハラ投票監視団)に対するモロッコの妨害を、国連安保理に報告する」と、公表した。 その国連安保理の席では、「モロッコが5月にロス特使の更迭を求め、両当事者による国連交渉が5か月にわたって中断したこと」に、焦点が当てられるもようだ。 
 
 2012年10月8日、ワリド・サリク外相が率いる西サハラ代表団が、国連総会の脱植民地化委員会に出席し、「アフリカ最後の植民地・西サハラを国連西サハラ住民投票で解放するように」と訴えます。 国連もアメリカも、そして日本も、外交政策の失敗が続いています。 国際社会の信頼を回復するためにも、国際連合憲章の基本に立ち返って、アフリカ最後の植民地を平和的に解放するよう、尽力すべきだと思われます。 
 
写真:クリストファー・ロス国連事務総長西サハラ個人特使とバン事務総長(SPS提供) 
 
WSJPO西サハラ政府・日本代表事務所 
 所長:川名敏之 
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション) 
 代表:平田伊都子 


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