2012年10月25日14時23分掲載  無料記事
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遺伝子組み換え/ゲノム編集

忍び寄る遺伝子組み換え食品  西分千秋

 最近、米国の食品産業の内幕を撮ったドキュメンタリー映画『フード・インク』を見る機会がありました。その中で、米国のスーパーで売られている加工食品の70%に遺伝子組み換え(GM)食品が何らかの形で入っていると言われていますが、表示はされていません。そのため消費者は知らず知らずのうちに食べてしまっています。これは米国の話ですが、日本でも同じ現状だといえます。 
 
◆遺伝子組み換え作物食品の現状 
 
 日本では1996年にGM作物が食品として認可されました。日本で安全性が確認され、販売・流通が認められているのは、2012年3月現在、大豆、トウモロコシ、ジャガイモ、綿、ナタネ、アルファルファ、テンサイ、パパイヤの8作物(169品種)、キモシン、α−アミラーゼ、リパーゼ、プルラナーゼ、リボフラビン、グルコアミラーゼ、α-グルコシルトランスフェラーゼという添加物7種類(15品目)です。 
 
 日本はこれらのGM作物を大量に輸入しています。主に家畜の飼料と食用油などの加工食品の原材料ですが、食品添加物、医薬品など、様々に形を変えて使われています。 
 
 世界的にはGM作物の栽培は増えています。2011年の作付け面積は大豆7540万ha、トウモロコシ5100万ha、綿2470万ha、ナタネ820万ha、合計1億6000万ha (ISAAA(注)調査)となっており、日本の国土(3780万ha)の5倍の広さに達しています。 
 
◆加工食品に入っている遺伝子組み換え食品 
 
 食用油(大豆、ナタネ、コーン)、豆腐、味噌、醤油、マヨネーズなどの原材料として使われ、コーンスターチ、ブドウ糖、水飴、調味料(アミノ酸等)、醸造用アルコール、乳化剤、ビタミンCなど、様々な形に変えて加工食品にも使われているのが実態です。 
 
 
●GM食品とその用途(GM食品を使って作られた可能性があるもの) 
<トウモロコシ> 
飼料、食用油、コーンスターチ、デンプン、コーンフレーク、ブドウ糖、果糖、異性化液糖、水飴、グタミン酸ナトリウム、醸造用アルコール、ビタミンC、他 
<大豆> 
飼料、食用油、豆腐、納豆、味噌、醤油、植物性たんぱく、たん白加水分解物、レシチン、乳化剤、ビタミンE、他 
<綿>飼料、食用油、他 
<ナタネ>飼料、食用油、ビタミンE、他 
<パパイヤ>青果、ドライフルーツ、ほか 
 
 
◆私たちが知らずに食べているGM食品、食品表示のせい? 
 
 多くの消費者がGM食品に不安をもっていますが、日本のGM食品表示制度ではGM食品が使われているのかいないのかが分からず、知らず知らずのうちに食べてしまっています。 
 
 ハンバーグやフライドチキンなどの材料になる肉や卵などのもとになる家畜の飼料には、GM作物が多く使われていますが、飼料の表示義務はなく表示されていません。ナタネについても、日本の自給率は0.1%なので、食用油の原材料となるナタネはほとんどをGM栽培国のアメリカ、カナダ、オーストラリアから輸入しています。食用油にも表示義務はありません。 
 
●表示義務対象品目  
<定義>加工後もDNAまたは由来たんぱく質が残っている食品で、GM作物由来食品の重量比が5%以上かつ上位3位  
<主な品目>豆腐、納豆、味噌、コーンスナック菓子など、ほんのわずか33品目 
<GMの表示方法>「遺伝子組み換え」または「遺伝子組み換え不分別」 
<非GMの表示方法>表示なし※ 
 
●それ以外の品目(任意表示) 
<定義>加工後にDNAまたは由来たんぱく質が残っていない食品。加工後にそれが残っていてもGM作物由来食品の重量比が5%未満または上位4位以下の場合。 
<主な品目>食用油、醤油、さまざまな加工副原料(糖類、たんぱく質類、油脂類など)など 
<GMの表示方法>表示なし※ 
<非GMの表示方法>「遺伝子組み換えでない」 
 
※以上のように「表示なし」となっている 
 
注:国際アグリバイオ事業団 
 
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