2012年11月06日13時25分掲載  無料記事
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アフリカ

【西サハラ最新情報】西サハラ国連事務総長特使ロス、活動再開   平田伊都子 

 2012年10月27日から11月15日にかけて、クリストファー・ロス国連事務総長特使が西サハラ問題解決に向け、当該地域の視察をしています。 10月27日にモロッコに入り、28日と29日にかけてモロッコ王をはじめ、モロッコ側の関係者と会いました。 
 
 モロッコ王は、「モロッコ王国サハラ(西サハラのことをモロッコではこう呼びます)はひとつのモロッコ地方州で、地方自治権を受諾するように」と、国連西サハラ住民投票を無視し、<地方自治権>以外の話し合いには応じないことを、再度、ロスに言い渡しました。 
 
 「2012年5月17日にモロッコはロス特使と国連主催の平和交渉を拒否し、国連事務総長が<モロッコの拒否>を拒否してから、西サハラ国連平和交渉は暗礁に乗り上げたままだった。フランスの拒否権をバックに国連安保理で、ごり押しに西サハラ領有権を勝ち取ろうとしたモロッコの策略は、ロスの活動再開で崩れた」と、西サハラ政府MINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)代表ハッダードは語りました。以下にロスの大活躍を紹介します。 
 
(1)10月31日、ロス、初めてモロッコ占領地・西サハラのラユーン空港に降り立ち、国連ナンバーの車でMINURSO国連本部に入った。 モロッコはこれまで、ロスや国際団体やプレスの占領地入りを禁じていた。 ロスは自ら立てたプラン通りに、占領政策を非難し政治囚の釈放を求める西サハラ平和運動家たちに会い、聞き取り調査をした。 
 
(2)11月1日、この日もロスは、虐待をうけた西サハラ住民やモロッコ占領当局によって虐殺された犠牲者の家族たちと会った。 ラユーンの市街ではモロッコ占領当局から禁止されているデモが行われ、西サハラ住民側に多数の負傷者がでた。 
 
(3)11月2日朝、ロスはモロッコ占領地・西サハラから国連のヘリコプターで地雷防御壁<砂の壁>を越え、西サハラ解放区のテイファリテイー前線基地に降り立つ。ラミン西サハラ国防大臣やポリサリオ西サハラ解放軍の出迎えを受け、地雷原やポリサリオ西サハラ軍の状況を聞く。 テイファリテイーは国連西サハラ住民投票時の投票場に予定されている砂漠の中継点で、MINURSOの前線基地も置かれている。 
 
(4)11月3日、アルジェリアにある西サハラ難民キャンプに到着し、西サハラ政府MINURSO代表ハッダードの出迎えを受ける。 この日、西サハラ国会議長や議員たちに会い、651を数える行方不明者の家族たちからの陳情を受け、西サハラ青年同盟と会談をした。 
 
(5)11月4日は5つある難民キャンプのうち、ブジュドウールという名の難民キャンプを訪れ、オマル首相や内務大臣や婦人同盟などの団体に会う。 11月5日には教育大臣と会い、別のスマラ難民キャンプを訪れ一般の家族を訪問する。 最後に西サハラ大統領アブド・ル・アジズと会談する。 
 
 西サハラ国連事務総長特使ロスの旅はまだ続きます。 アルジェリア、モーリタニア、そしてヨーロッパ諸国と、、ロスの旅はかって元米国務長官ジェームス・ベーカー元国連事務総長特使が途中でダウンしたハードな旅程です。 が、我々プレスが憧れるコースです。 さすが国連のアレンジ、、 
 お見事! 
 
 アフリカ最後の植民地解放に向けて、ロスの旅が大成功を収めますように、、 
ボン・ボヤージ!! 
 
WSJPO西サハラ政府・日本代表事務所 
 所長 川名敏之  2012.11.04 
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)  平田伊都子 
 
写真提供:SPS 
 


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