2012年11月08日10時04分掲載  無料記事
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人権/反差別/司法

【AIニュース】ゴビンダ・マイナリさん無罪が確定で問われる日本の不当な拘禁制度

 東京高等裁判所は11月7日、東京電力の女性社員殺害事件で無期懲役が確定していたゴビンダ・プラサト・マイナリさんに対し、無罪判決を言い渡した。マイナリさんは、犯してもいない殺人の罪で15年間を刑務所で過ごした。その後の無罪放免となった今回の事態は、あらためて日本の警察での拘禁制度の問題と改正が急務であることを明らかにした。(アムネスティ国際ニュース) 
 
 ネパール人の移住労働者、マイナリさんは、1997年3月に起きた東電女性殺害事件の犯行を一貫して否定してきた。 
 
 逮捕された当初、マイナリさんは弁護士への接見も許されず、公判前の取調べ中、警察官によって殴打されたり、蹴られたり、壁に押し付けられたりした。 
 
 アムネスティ・インターナショナルは1回目の公判後、マイナリさんは公正な裁判を受ける権利を奪われている、との懸念を表明した。 
 
 検察は当初、彼が関与していないことを示すDNAの証拠を出さず、去年7月になってようやく開示した。 
 
 マイナリさんの無罪放免は、彼が受けた扱いの不当性のみならず、現制度が国際基準に合った公正な裁判を永続的に妨げることをも白日にさらした。 
 
 警察は、取調べ中に自由裁量で権力を行使し、被疑者を日常的に拷問や虐待を繰り返し、弁護士との接見を妨害した。これらは到底受け入れられるものではない。 
 
 日本では代用監獄制度のもと被疑者は起訴されることなく最長23日間まで勾留され、弁護士との接見も制限される。アムネスティと国連は共に、人権条約義務に違反するこの制度の廃止、または抜本的改正を繰り返し求めてきた。 
 
 取調べ時間についての規則はなく、取調べのすべてが記録されることもなく、弁護士の立会いも認められない。 
 
 アムネスティは代用監獄制度のもと、殴打、脅迫、睡眠時間のはく奪、取調べ中の日常的な拷問や虐待、長時間不動で立たせたり座らせたりするなどのさまざまな扱いを記録している。 
 
 日本の司法制度は、このような状況で得られた「自白」を偏重している。 
 
 日本政府が司法の名に値する制度を確立するのであれば、まず早急にこのような権力の濫用を止めるべきである。国際人権法にのっとった取調べの過程を実現するには、抜本的な制度の改正が必要である。 
 
 改正すべき点には、取調べ中を含めた被拘禁者による無条件の弁護士との接見、公判での使用を目的とした取調べの全過程の録音・録画、拘禁施設内の監視を含む。 


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