2012年11月17日03時54分掲載  無料記事
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科学

「渚に戻るべからず」  ハリケーンに襲われた渚は近い将来また襲われる

  ニューヨークタイムズの論説欄にハリケーン・サンディの惨状を巡って地球・海洋科学者オリン・H・ピルキイ、デューク大学名誉教授が寄稿した。ピルキイ教授はハリケーンに襲われたニューヨーク州およびニュージャージー州の渚の家々はもう再建せず、内陸に撤退した方がよいと説得している。http://www.nytimes.com/2012/11/15/opinion/a-beachfront-retreat.html?src=me&ref=general&_r=0 
  地球温暖化で海面は上昇の一途をたどる上に、将来のストーム(暴風雨)はますます強力になっていくであろうからだ。今の人類にはこの傾向をとどめる力はないと教授はいう。だから渚から撤退せよ、と言うのである。 
 
  ピルキイ教授があえてこのような寄稿をしたのは、現在、災害に見舞われた土地に、もっと強靭な災害対策をしようとしているからだ。しかし、それらは長い目で見ればますます高くつくことになるという。 
 
 ピルキイ教授には地球温暖化に由来する海面上昇についての著作がいくつもあり、そこから将来発生する災難をどう避けるかを提言している。あと100年で7フィート(約2メートル強)海面が上昇することを見込んで、パイプラインや道路などのインフラの移設、そして家々の移設を提言している。渚に海水除けの壁や堤を作ることはコストに見合う効果が得られないだけでなく、将来一層環境は悪くなっていくのだからコストがますますかかることになると警告している。 
 
■’The Rising Sea’(Orrin H.Pilkey and Bob Young) 
http://www.barnesandnoble.com/w/rising-sea-orrin-h-pilkey/1100368531 
■’The World's Beaches (A Global Guide to the Science of the Shoreline)’Orrin H. Pilkey (Author), William J. Neal (Author), James Andrew Graham Cooper (Author), Joseph T. Kelley (Author) 
http://www.ucpress.edu/book.php?isbn=9780520268722 
■海面上昇について Coastal Careのウェブサイトより 
http://coastalcare.org/sections/inform/sea-level-rise/ 


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