2012年11月23日01時39分掲載  無料記事
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中東

NYT社説から 「ハマスにも問題あり」

  ニューヨークタイムズでもガザのイスラエルによる攻撃を連日報じているが、「ハマスにも問題あり’Hamas's illegitimacy'」と題する社説を水曜に出している。ガザ攻撃の責任はイスラエルだけでなく、ハマス側にもあったのではないか、とする主旨である。 
 
  ニューヨークタイムズはイスラエルが先週、ハマスの軍事部門の最高指揮官を殺すまでに、年内だけでガザからイスラエル領内に750発から800発のロケットが撃ち込まれたことを指摘。こうしたハマスの行為はパレスチナ国家設立に向けた動きを妨げるのではないか、と説く。そして住民を盾に取った闘争の是非を問うているのである。たとえ報復であっても、イスラエル領内にロケットを打ち込み続ければイスラエルが攻撃を加えるのは予想されることだからだ。イスラエルの攻撃で殺されたり、負傷したりする人間の大半が市民であり、今回の場合のようにその多くが女性や子供であった。たとえその攻撃を行ったのがイスラエル軍だったとしても、その原因を作った(その結果を予測しえた)ハマスにも責任があるのでは、という論旨である。 
  エジプトなどの周辺アラブ諸国のリーダーたちに対しても、ハマスの誤りを無視するのはやめたらどうか、と指摘している。 
http://www.nytimes.com/2012/11/20/opinion/hamass-illegitimacy.html?_r=0 
 
  中東は日本から遠く離れている。ともすれば我々は日本と中東とを同一基準で考えてこなかったのではないか。日本には憲法第9条がある。「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 
第二項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」 
  この憲法第9条を世界に誇るものであるから、世界に普及させようという主張もある。こうした場合に交戦権を否定するこの憲法第9条の趣旨は、たとえばパレスチナにも普遍化できるのか、という問題がある。ハマスの取っている方針は(イスラエルはもちろんだが)国際紛争を解決する手段として武力を行使しているからである。 
  もし憲法第9条の骨子が時と場所と場合によって適用できたりできなかったりするようなものなら(つまり戦後日本と言う特殊な状況でしか立脚できないものだったのなら)、その弱さ、普遍性のなさによって、いずれは日本国内からも「戦後レジームからの脱却」といった政治思想によって駆逐されうるだろう。 
 
■日経新聞「イスラエルとハマス、停戦合意 武力衝突なお懸念」http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM22010_S2A121C1000000/ 


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