2012年11月27日14時10分掲載  無料記事
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核・原子力

【たんぽぽ舎発】電気料金値上げに対抗する電力料金引き下げの方法(その1)電気料金値上げの原因  山崎久隆 

 この方法は、一般家庭向きでは無くマンション共用部分や小規模事業者向けの方法です。一般家庭の場合での「アンペアダウン」に相当する方法を、マンション共用部分や小規模の工場などで実行することが可能という話題です。 
 
 東電が8.46%もの電気料金値上げを行い、それを9月1日から強行実施しました。 
 電気料金値上げの原因は、火力の炊き増しなどでは無く「原発費用」の負担増であることは論を待ちません。原発再開や核燃料サイクル費用に加えて福島第一原発に関連する費用も紛れ込むといったことが原因となり、巨額の負担を強いられた東電がツケを消費者に転嫁しているわけです。 
 
 これが被災者への支援や補償に当てられたというのならばまだしも、実態は柏崎や福島第二の補修費、核燃料調達費、もはや動くことも無い福島第一原発5、6号機の安定化費用、そして六ヶ所村や東通村などへの「寄付金」(東電は寄付で無いと言っているが、では何かと問われると答えないそうだ)が入り込んでいます。 
 
 さすがに「寄付金」は原価算入を経産省に拒否されたようですが、東電の値上げの原因はこれら原発がらみが圧倒的。なぜならば、火力を炊き増ししようが他電力から買おうが、小売りしているキロワット単価よりも購入価格が高いわけが無いからです。(ただし一部再生エネルギーは除きます。とはいえわずかなものですから影響はありませんが) 
 
 こんなデタラメがまかり通ったものだから、今年の冬には関電、九電が値上げ申請をし、4月から実施するのだと報じられました。冗談ではありません。 
 
 どっちの電力会社も原発の比率が高すぎるために電気を売っても売っても原発にかかる費用に食いつぶされてしまって経営破綻状態なのです。原発にかかる費用を大幅に削減すれば、火力を炊き増ししても値上げなど必要ありません。 
 
 例えば核燃料サイクル費用を全部止めて、再処理など各種引当金を原発の安定化に回し、使用済燃料の安全な貯蔵システムを構築して原子炉から取り出し、電源が無くても安全に冷やすことが出来るようにしさえすれば、初年度にまとまった費用がかかっても二年時以降は冷却用電源以外に、費用はほとんどかからなくなるでしょう。 
 
 冷却装置つきプールと乾式貯蔵設備の建設は関電でも1000億円ほどで出来るだろうと思います。ただし若狭湾に作ることには反対です。消費地大阪ないしはその近郊にすべきでしょう。また、耐震性や火災防災対策も万全な、強固な施設とすることが要求されます。 
 
 全ての電力会社が同様に原発の再稼働を断念し、最小限の安全対策費用で済むようにすれば経営破綻は避けられるのですが、経営が傾きだした電力会社に危険な核を持たせ続けるのもリスクが大きすぎます。 
 
 そこで9電力を解体するとともに、日本原子力発電という国策会社に全原発の管理業務を移管すれば良いだろうと思います。 
 もちろん一ワットも電気を生まない原発を抱えることになるので、毎年何千億円もの費用が一方的に掛かるだけとなります。その分は毎年3300億円の税収がある電源三法交付金と、分割した各種電力会社からの委託費あるいは原発割当金を取ることでまかなうようにすれば良いでしょう。 
 
 電源三法交付金という、人口数千人の町に40〜60年間に1000億円近い交たのをやめて振り替えれば、福島第一原発を除いて、安全に管理できるであろうと思われます。 
 
 なお、東電がむつ市に建設している「中間貯蔵施設」は、これに該当させるべきではありません。むつ市の中間貯蔵施設は再処理が前提であり、仮貯蔵所に過ぎないので立地場所も危険ですし設備の安全性にも問題があります。また、こんな遠距離輸送すること自体がハイリスクであり、青森県に持ち込む理由も無いからです。 
 
 そんなおかしな計画だから、周辺自治体を含めて巨額の寄付をしたり交付金を払うようなことになるのです。 原発のある場所からそう遠くない地域で消費地の近くで貯蔵すべきです。 
(次号につづく) 


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