2012年11月28日13時46分掲載  無料記事
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核・原子力

【たんぽぽ舎発】電気料金値上げに対抗する電力料金引き下げの方法(その2) 基本料金を下げよう  山崎久隆

 前置きが大変長くなりました。それでは電気料金値上げ対策の本題に移ります。電気料金は大きく二つの構成要素に分けられます。基本料金と従量料金です。基本料金とは、一般家庭(電灯料金)においては「契約アンペア数」に比例します。5アンペア、10アンペアなどと契約数が小さければ基本料金は安く、50、60などと大きくなれば高くなります。(東電の料金はアンペアごとに 10 15 20 
30 40 50 60アンペアに対して基本料金273円、409.5円、546円、819円、1,092円、1,365円、1,638円となっています。40から30に下げた場合1092円から819円になりますので、差額の273円分安くなります)。 
 
 それに加えて従量電灯料金、つまり使った分のキロワットアワーに対して掛かります。一般に3段階に区分されていて、一番少ないところが最初の120キロワットアワーまでで18.89円、二段階目が300キロワットアワーまでで25.19円、最後が29.1円と、キロワットアワーあたりの単価が決められています。これは契約アンペアに関係なく、使った量だけ掛かります。(金額はいずれも東電の例で9 
月以降つまり値上げ後) 
 
 一般に「節電」というと、消費電力量を減らすことを意味しますから、従量電灯料金を減らすことになります。一方「アンペアダウン」というのは、基本料金を下げることを指します。一キロワットも節電しなくてもアンペアを下げれば翌月から下げた分だけ料金が下がります。 
 
 これと同様のことが、マンションや事業所のうち負荷設備契約をしている場合に行うことが出来ます。 
 一般のマンションは建物の電灯に相当する部分と、動力の部分に分かれています。これは分電盤のところで分けられます。分電盤までは電力会社の設備で、その先に配電盤がありますが、ここから先は一般的には建物を造った人(会社)の所有になります。配電盤には「電灯配電盤」と「動力配電盤」があります。電灯配電盤は建物の電灯(街灯や足下のライトや警報装置類)などに使う電気を配電 
し、こちらはアンペア契約である従量電灯契約になります。アンペアダウンが可能である場合もありますが、あまり大きな節約は難しいでしょう。 
 
 一方、動力配電盤につながる装置はモーター類です。つまり「動力」部分。一般家庭にはあまり縁はありませんが、マンションなどはエレベーターや給水ポンプや可動式車庫など、ポンプ・モーター類を多く使います。これら装置類への電源供給は動力契約になっています。単位は「キロワット」単位です。 
 
 例えばエレベーターで10キロワット、ポンプで6キロワット、可動式車庫で12キロワットの規格のモーターが付いていたとしたら、一般的にはこれらを加算して契約をしているケースが多いのです。 
 合計すれば28キロワット契約というわけです。 
 
 これが基本料金になります。1キロワットあたり1,071円が東電の料金です。28キロワットで契約していれば、1,071×28=29,988円が基本料金で、それに対してキロワットアワーあたり夏期16.5円、冬季14.99円の電力量料金がかかります。月に1,200キロワットアワー使っていたとしたら、夏期16.5×1,200=19,800円かかることになります。これと基本料金を足して、合計49,788円が電気料金です。年間だと約60万円ほどかかっていることになります。 
 
 さて、どうやって安く上げるかというと、この基本料金を下げます。契約キロワットを例えば半分である14キロワットまで下げます。これですと14,994円毎月下がります。年間179,928円、自動的に料金が下がります。トータルで三割近く削減できたことになります。 
 
 しかしながら、これには条件があります。 
 それまで付いていた東電のブレーカーを外して、電子ブレーカーという別の原理で作動するブレーカーに付け替えなければなりません。このブレーカーは東電のように無料ではなく、買うかレンタルするかしなければなりません。おおむね50万円程度します。従って、単純に電気料金が下がったと言っても、電子ブレーカー買い取り分の価格との相殺で、3年程度は元を取るまでに掛かります。減価償却費用がかかるのです。 
 
 以下は契約次第ですが、電子ブレーカー自体は15年程度は故障しないと言われています。メーカー保証は7年程度が普通でしょう。従って、元を取って利益が出るのは3年ほど先、さらにその後保証期間内ならば無償ですから、4年は確実に利益を出す。その後はブレーカーに故障が無ければ10年くらいは利益が出るとして、電気料金に変化が無く、使用する電力量にも変化が無いとしたら、最小70 
万円程度、最大で210万円ほどの利益が見込めるというわけ。この「利益」はもちろん東電に支払う電気料金を減らして出る利益です。 
 
 毎年18万円支払金額が減らせるならば、元を取るのに3年掛かっても安いものだと思われれば、契約変更を考えてみては如何でしょう。ただし3年というのは上記の計算例に基づくのであって、規模の小さい事業所やマンションの場合はもっと年数がかかりますから、必ずメーカーの診断と見積もりを依頼するようにしてください。マンションの場合は当然ながら管理組合が役員とマンションオーナーで十分話し合い、皆の納得を得なければ導入は出来ません。さらに管理組合が契約をしているマンション管理会社とも相談の必要があります。もっとも、最近では管理会社から管理組合に提案してくるケースもあるようですが。(次号に続く) 


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