2012年12月23日00時56分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201212230056140

欧州

世界のベタ記事から  冬のエーゲ海の死体

  今月17日付アテネ発のベタ記事。エーゲ海でボートが転覆し、18人の死体がレスボス島沖で回収された。1名の男性が救出された。男性の証言によると、女性や子供らを含む28人がトルコからボートに乗り込み、ギリシアに入ろうと試みたがボートが波でひっくり返ったというのだ。さらに9人が行方不明だという。民族的なバックグラウンドは不明。豊かな欧州での生活を希望したとみられる。しかし、国境の入国審査を避けた、不法入国の試みだった。 
  最近、トルコから越境してギリシアに入ろうと試み、亡くなる人々が後を絶たないという。ベタ記事はインターナショナルヘラルドトリビューン。 
 
  ギリシアは欧州連合に加盟しているが、トルコは未だ加盟できずにいる。トルコから危険を冒してエーゲ海を渡ってギリシア入りを試みるのも、対岸には人の移動が自由な<欧州>があるからだろう。 
 
■18 migrants found dead, 9 reportedly missing 
http://www.staradvertiser.com/news/breaking/19040101_18_migrants_found_dead_9_reportedly_missing.html?id=183631071 
■ギリシアの島々に不法移民の波 
’MIGRATION: Influx shifts to Greek islands’ 
http://www.irinnews.org/printreport.aspx?reportid=96465 
10月5日付のこの記事によれば、トルコに近いギリシアのレスボス島には不法に越境してくる人々が増えており、シリアやアフガニスタンなどからの人々が多いようである。記事で紹介されているある家族はシリア政府軍の空爆を逃れてシリアを出、最終的にはイタリアへ渡るつもりだったという。中近東の人々にとっては欧州連合に加盟しているギリシアが欧州の入り口なのだろう。だが、彼らがまず入るのが欧州経済危機の根源にあるギリシアというところが皮肉である。 
 
  ギリシア政府はレスボス島などいくつかの島々に、検挙された不法移民のための収容センターを作ると発表した。これまでは警察の留置所に収監され、そこもいっぱいだった。8月以来、1週間に200人のペースでギリシアの島々に不法移民がやってくる。ギリシア警察はトルコとの国境に警察官を増員して、不法移民の摘発と保護を行っているようである。レスボス島などはトルコ国境からわずか数キロしか離れていないため、天候さえよければボートで無事に岸辺につける。記事によればブルガリアを経由する陸路の不法移民のルートもあるようだ。 
 
  この記事はIRINによる。IRINとはウィキペディアによると「IRIN(Integrated Regional Information Networks, 統合地域情報ネットワーク)は1995年に設立された国際連合人道問題調整事務所 (OCHA) によるアジアの一部、中東、サブサハラ・アフリカにおける、紛争・災害情報等の普及を目的とした独立した報道部門である。1994年のルワンダ虐殺と大湖沼地帯での難民危機を契機として人道援助関係者その他に広く情報を提供する目的で設置された。」 
 
■レスボス島 
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%9C%E3%82%B9%E5%B3%B6 
  この地図で見ると明瞭だが、トルコのすぐ脇がギリシア領の島々になっている。首都アテネはエーゲ海をはさんだ対岸にある。 
 
■ギリシア 警察と極右政党「黄金の夜明け」の関係とは? 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201212091240460 
 「ユーロ危機の引き金となったギリシアでは移民排斥を唱える極右政党「黄金の夜明け」が今年6月の総選挙で躍進し、18人(ギリシア議会定数は300議席)の国会議員を誕生させた。この「黄金の夜明け」がアテネでは陰で「警察活動」まで担っていると英国紙ガーディアンで報じられている。」 


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