2013年01月16日10時25分掲載  無料記事
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核・原子力

アメリカ原発廃棄運動の一端 オノフレ原発再稼働工事と三菱重工の関係が問うもの

  日本政府は、民主であれ自民であれ、日本に根付いた原子力産業を保護するため、国内はともかく原発の輸出には積極的である。それは、原子力産業の主要な担い手が、日本の大企業になってしまったからである。これは、欧米各国の原子力産業が、それが齎す負の影響(事故による放射能の放出など)の責任を回避し、日本に押し付けようとしていることによるようである。日本の企業はそんな深読みはできないらしい。いずれにしても、かつてのアメリカ、フランスなどの原子力企業は日本企業の傘下に入ってしまった。(バンクーバー・落合栄一郎) 
 
 そこで、これが現在のアメリカの原発廃棄運動にどう関わっているかの一つの例を。ロスアンジェルスの南、海岸線にオノフレ原発がある。これは、カリフォルニア断層の上にある。蒸気発生装置の不具合で、いま1年ほど停止している。その再建を、日本の三菱重工が請け負った。結果は、デザインの欠陥と不良な金属材料の使用のために、チューブが漏れたりなどの不具合のため、運転が難しくなっている(これが、日本の誇る原子力産業である)。 
 
 米原子力庁(NRC)は、安全確保が保障されない限り、運転再開は認めない方針であり、原発側の市民への働きかけ(失敗した出費の穴埋め)に、州の公共電力委員会が、それを拒否すれば、再稼働は、不可能である。 
 
 市民運動は、この期を逃さないよう、圧力を強めつつある。このような問題はアメリカの他の原発でも起っている。こうした動きは、主要企業が日本に移管したためにやり易くなったのかもしれない。日本では逆に、脱原発が難しくなってしまった。それは、脱原発が、日本経済に及ぼす影響が甚大であることが確実だからである。日本での脱原発運動は、このことも覚悟してやらなければならなくなってしまって、残念である。しかし、経済が、生命に優先してはならない。 
 
*以上オノフレ原発に関する部分は、http://www.alternet.org/environment/showdown-san-onofre-why-nuclear-industry-may-be-dealt-big-blow?paging=offに基づく。 


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