2013年02月20日13時13分掲載  無料記事
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核・原子力

【たんぽぽ舎発】使用済燃料を青森県に搬出してはならない  東京電力はサイト内乾式貯蔵を地元に説明する義務がある 山崎 久隆

 24年にわたり東京電力の株主総会に出席し、使用済燃料の再処理と青森への核ゴミ輸送に反対してきた立場から、使用済核燃料についての私個人の考えを述べる。敢えて言うまでもないが、いかなる団体の意見も代表するわけではないし、もちろん原発現地の人々にとって容認できる話でも無いことは十分認識している。しかし多分、当面方法はこれしかないとも思っている。 
 
 まず、乾式貯蔵を行うしか使用済燃料プールの危険性を回避する方法は無い。これは大前提なのだが、だからといって無限に乾式貯蔵をして、さらに使用済燃料のままで埋め捨てにすれば済むという話ではない。 
 
 さらなる大前提は、東電の全原発を廃止し、今後使用済燃料が一体も増加しないことを確実にすることである。これにより東電が管理すべき使用済燃料の全量が確定する。それを何処で、誰が、どのように管理をするかを議論する俎上に上がるというものだ。 
 
 現在東電は、再稼働する前提で、柏崎刈羽原子力発電所から使用済燃料を乾式貯蔵容器に詰めて青森県に送る計画を立てている。これは断じて、実行してはならない。 
 
 また、今後のこととして、青森県に送っている使用済燃料を「引き取る」計画も立てなければならない。青森は核のゴミ捨て場ではないのだから、引き取る義務がある。貯蔵するのであれば東京電力管内(つまり東京)において管理することを考えるべきだ。福島第一、第二、柏崎刈羽のどこであっても「永久に貯蔵」することは認められない。 
 
 しかし、すぐに使用済核燃料を原発から動かすことはできない。特に福島第一に至っては動かす術さえない。このため、一定期間は原発サイトで乾式貯蔵設備などを構築し、そこで貯蔵をすることになる。実際には福島第一原発にはサイト内に乾式貯蔵設備は存在しており、貯蔵そのものは一部始まっている。可及的速やかに全燃料体をそのようにする理由は「地震や津波などの災害に耐えられない」ことに尽きる。このための費用ならば東電電気料金から支出することがあっても仕方がないだろう。 
 
 一体どれだけの資金が必要かと思われるかもしれないが、実際にむつ市関根浜で乾式貯蔵を計画していたものよりは少なくなるだろう。また、現在の福島第一で行っている方式をベースにすれば、費用もすぐに明らかにできるはずだ。東電は速やかに、必要額を明確にすべきである。 
 
 今すぐすべきなのは方針の提示だ。例によってまたしてもずるずると時間ばかりを浪費する原子力マフィアの悪質なサボタージュを許さないことが重要だ。 


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