2013年03月09日16時57分掲載
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欧州
パリジェンヌの日記 〜短編映画「不測の事態」のスタッフになる� 繊．凜�ルジニー・ブリエン
今日は私が参加した短編映画について書くとしよう。映画のタイトルは「不測の事態（Contretemps)」。監督や俳優たちにインタビューをしたので舞台裏をしっかり書けるのだ。この映画は２０１２年にローラン・ノエル(Laurent Noel)が監督したもの。私自身が参加したので私にとって特別な映画でもある。私は画家の傍ら、何年も映画美術を生業にしてきた。だからもしバジェットの少ない短編映画に参加するとしたら、その映画の企画が本当にやりたい場合に限る。「不測の事態」の場合もまさにその通り。参加したことを悔いていない。やりがいのある１つの冒険だった。この映画、とても希望と詩情にあふれているので、美術家として参加できたことは私の誇りよ。
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女優のベネディクト・ラフォン（Benedicte Lafond)と男優のフランソワ・パティシエ(Francois Patissier)は長年共演してきたコンビ。映画でも舞台でも、かれこれ２０年間近いつきあい。そんな二人が一夜、クリシーにあるインド料理店でふと思いついたのが映画づくり。何か世の中を楽しくすることをやろうよって。２０１０年３月のことだ。二人は共同でシナリオを書く事にした。もちろん映画で共演することも。
「率直に言って、私たち自身の物語を書こうとしたんだ」
（パティシエ）
「短編映画を作るなんてどうかしていると思ったけれど、賭けてみることにしたわ」（ラフォン）
レストランで話をしていると軽い喜劇タッチの物語を作ることになった。二人の役どころは５０歳近い男女。二人はこの年齢にして人生の意味を自分に問いかけ始める。まるで地図の折り目に隠れてしまうようなささいな通りの名前みたいな、二人の日々の心配事や生活のデテールを描こうというのだ。そんな小さな気苦労が毎日蓄積されるうちに、やがて気がついたら想像以上に危険なものに膨らんでいるものだ。これが「不測の事態」のコンセプト。
「まず私が原案を書き、ベネディクトに送ることに二人で決めたんだ。」（パティシエ）
こうしてシナリオづくりが始まった。
「３日後、私はベネディクトに「不測の事態」の第一稿を送ったよ。正確に言えば、２０１０年４月３日の１４時２２分１３秒だね」（パティシエ）
「私たちは冒険に出ました。でもこんなに早く具体化するとは思っていませんでした。何て素晴らしい贈り物なのかしら！」（ラフォン）
��監督を探す
２０１０年の夏、映画を撮るという欲求が強まった。パティシエは監督を探していた。二人の映画監督の友人に声をかけてみたものの、短編だから自分で監督したらどうだ、と言われる始末。だが、フランソワ（パティシエ）には監督の経験がなかったのだ。
「そんな時、ローラン・ノエルのことを思い出したんだ。ノエルのことは２０年来知っている。舞台でも映画でも一緒に仕事をしたし、私生活でも友達だ。私達の考え方はずいぶん違っているけど、だからこそ互いに補い合える関係と言える。以前、「大急ぎ」（Precipitevolissimevolmente）というタイトルの短編を私の自宅で撮影したことがあった。丁度、私の家が火事にあってね、それを映画にしようと思いついたんだ。撮影が始まったのは火事で家が焼けて１５日目のこと。私が彼に監督を頼んだのは撮影開始のわずか５日前だったよ。頼んだ時点では脚本すらなかった。こんな状況だったけど、ノエルは監督を見事にやり遂げた。だから、「不測の事態」においてもやれない理由はないと思ったんだ」
「フランソワ・パティシエとは２０年来の付き合いです。彼は俳優ですが、脚本も以前一緒に書いていました。今回、パティシエは短編映画を撮らないかと言ってきました。「不測の事態」はパティシエとラフォンによる脚本です。」（ノエル）
ノエルは今回も監督を引き受けた。
「まず、僕はシナリオがまだ練られていないと感じました。ドラマ性に欠けていると思ったんです。ですからまずシナリオに手を入れることから始めました。僕が演出できるように、要素を加え、シーンの意味をより明確にし、余分なセリフやシーンはカットしていきました。これはフランソワの了解のもとでです。撮影や編集の時でも気づいたら手を入れました。シナリオは最初の出発点に過ぎないのです。そこからドラマが発展していくのですよ。」（ノエル）
監督として、ノエルは自分の視点と解釈を持ちこんだ。
「私は監督のローラン・ノエルとは初顔合わせでしたが、彼が過去に監督した短編映画「大急ぎ」（Precipitevolissimevolmente）は見ていました。「大急ぎ」はフランソワ(パティシエ）の家で火事にあった直後に撮影されました。この作品を見ていたので、今回ノエルがメガホンを取ることに応じてくれたことを感謝しました。それにノエルが私と同じくらい古くからのフランソワの仲間だと言う事もいい兆しでした。ノエルは演技の面で私たちに曖昧さを避けるようにと指示を出しました。彼は私たちにアメリカ映画のコメディ作品を見ることを奨めました。彼は映画がどこへ行くかを知っていたのです。」（ラフォン）
��制作費を集める
パティシエは早く撮影を始めたかった。だから、自分の言葉を守るためには力づくでもやると言っていた。まだ予算がなかったにも関わらずだ。しかし、よくよく考えた末、資金集めのいいアイデアを思い付いた。プロがやっている手だ。
「私たちは資金獲得に動こうとした。しかし、「あなたの仕事はクオリティは高いとわかっていますが私どもには力になれません・・」といった文言の断りの手紙を山と受け取ったよ。そこで今度は友人や知人に短編映画の共同制作者になってくれないか、と頼んでまわったんだ。５０人近くが出資してくれたんだ。」（パティシエ）
「フランソワ（パティシエ）はのめり込んでいました。まずは資金集めです。パティシエが仲間から教えてもらったのが知人や友人たちから少しずつ支援してもらって資金を集める方法です。私たちは前もって撮影の日取りを決めていました。撮影を確実に実現したかったからです。しかし、この方法で何とか無事資金が集まりました。決して潤沢なものとはいえませんが。」（ノエル）
つづく
寄稿 ヴィルジニー・ブリエン（Virginie Brien)
翻訳 村上良太
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＊ご記憶にある方もおられるかもしれませんが、２０１１年３月
、俳優のフランソワ・パティシエさんは地震と津波で甚大な被害を受けた日本に向けて激励のメッセージを寄せてくれていました。以下は当時の記事です（編集部）
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201104022325366
★フランソワ・パティシエさん（Francois Patissier、俳優）から。
「僕は２００９年に東京、京都、奈良、富士山、鎌倉など日本の各地を歩いた。きっと他の国に出かけた連中よりも、少し面白い体験ができたと思う。日本は西洋ととても違っている。そこが面白いところでもあるんだ。しかし、２３メートルの高さの津波、マグニチュード９の地震に直面すれば、文化の違いは関係ない。誰であれ、ひとしく飲み込んでしまう。・・・しかし皆さんは再建する力を持っておられる。皆さんには連帯の精神がある。生活はすでに再開された。どうか頑張ってください。」（３月２７日）
俳優フランソワ・パティシエさんの出演作品（出演作のコラージュです）は以下。パティシエさんは友人が日本に住んでいることもあって、よく来日されるそうです。
http://www.dailymotion.com/video/xaw3d7_bande-demo-de-francois-patissier-co_shortfilms
パティシエさんの１３歳の息子ルビンさんからも「僕らは皆さんのそばにいます。生活は大変でしょうが、頑張ってください」という言葉をいただきました。またパティシエさんとよく仕事をしている演出家のローラン・ノエル（Laurent Noel)さんからもメッセージ（詩）をいただきました。この詩についてはいつか機会があれば紹介したいと思います。
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