2013年05月10日12時35分掲載  無料記事
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核・原子力

【たんぽぽ舎発】憲法の保証する基本的人権を侵害し続ける原発  改憲論の先にあるものは何か  山崎久隆 

 今年の憲法記念日5月3日は「異様な雰囲気」の中で迎えることになった。次に何が始まるのか、とても危険な空気が漂っている。 
 
◆沖縄と憲法 
 
 4月28日に政府主催で行われた「主権回復の日記念式典」。1952年のサンフランシスコ講和条約が発効したことを「記念」したというが、この条約で沖縄は日本から切り離され米国の信託統治領となった。日米安保条約が成立し、日本は「主権を承認」されたものの、その相手国は米英など一部であり、中国や韓国やソ連は入っていない。その後、個別に基本協定、共同声明などで戦争状態を終わらせるまで、各国とは「戦争状態」であった。戦争が終わる「終戦の日」はいくつもあったのだ。 
 
 沖縄については、72年、日本への返還まで米国の占領は続いた。少数を犠牲にして多数が幸福を追求する。戦後のきっかけはサンフランシスコ講和条約であり、その後の沖縄密約であり、「核抜き本土並」などは真っ赤なウソで核兵器や化学兵器が長期間配備され、または配備が可能という密約が結ばれ、沖縄本島の主要部分を基地により占領され、いままたオスプレイを配備するも辺野古に基地を作るも沖縄の人々を飛び越え、中央政府と米国が勝手に決めて押しつける。 
 
 「主権回復」と言い放って式典まで開く現政権は、憲法を踏みにじり、無視し続けることで「実質改憲」をしている。 
 
◆福島と憲法 
 
 福島原発震災で起きていることも、構造は全く同じだ。福島県はとうに「福島第二原発廃炉」を決議し、住民のほとんども「廃炉 
は当然」としている。しかし未だに福島第二原発は「存続」し続けている。 
 
 一方で福島を始めとした被災者への賠償金は、遅々として支払われず、生活再建どころか日々の暮らしにも困る人々が大勢いる。仮設住宅での孤独死など、地域社会が解体された後に、人々は助け合って暮らす術さえ奪われている。原発震災関連死とされている人々は2年間で約800人になるという。 
 
 憲法第22条「居住権」を一方的に奪われ、憲法第13条「生命、自由および幸福追求に対する国民の権利」は侵害されっぱなし。憲法第25条の「健康な生活を営む権利」を侵害した当事者である東電は、その役員達には何不自由の無い生活が保障されているのに、被災した人々は2年以上も放置されている。 
 
 憲法の保証する基本的人権を侵害し続ける原発の存在が、さらに環境権、財産権などの多面にわたる権利を侵害し続けていることは、誰の目にも明らかであろう。 
 そしてそれを「補償」することは、実質的に不可能であることも誰の目にも明らかだ。 
 
 放射能で汚染された環境を元に戻すには、膨大な時間だけが唯一の方法であり、それ以外に実行される方法はいずれも「多少は緩和できる程度」つまり本質的には「気休め」でしかない。賠償を得ても、それは過去の一部の逸失利益に対する賠償であり、失われた利益全部、あるいは将来にわたる補償になど、なりようが無い。 
 
◆少数を切り捨てる 
 
 改憲論者の多くは大多数の利益を追求するには少数を犠牲にしてもかまわないとする立場の者が多い。沖縄も福島も、あるいは日本全国の核関連施設立地点はおおむね「少数者」であろう。 
 
 そこに矛盾を押しつけ、結果、一体誰が「最大幸福」と屋良を追求しているのであろう。そこにこそ、憲法違反の状況が集中的に出現していることは、数多くの訴訟や異議申し立ての運動から、明らかにされてきた。 
 
 このうえさらに、例えば原発再開、あるいはTPP参加へと、さらに少数に矛盾を押しつけて突き進むためには、憲法が邪魔なのだ。基本的人権や平和主義を、建前ですら失えば、もはや数十年先、この国には未来はなくなっている。 


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