2013年07月17日21時33分掲載  無料記事
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核・原子力

【たんぽぽ舎発】手遅れに近づく放射能流出阻止 海の汚染は待ったなし・・なのに  山崎久隆

 とうとう規制庁も「海洋への流出」を前提とした対策を考え始めたようである。とうに遅きに失しているが。東電に至っては依然として事故時に出た汚染水が残留していて徐々に漏れているだけと、原発からの追加流出はないとしている。正確には根拠も薄弱で「ないと信じたい」というだけなのだが。 
 
 もし、汚染水が海に流れ出したら、止める術はもうない。そんなことは事故直後からわかりきったことだった。そのために「止水壁」「海の埋め立て」「タンカー投入」などと、意見を述べてきたつもりである。 
 
 今年の株主総会でも同じ提案をしたら、去年とは違い「色々な意見を集めて検討している」と、否定はしなかった。その分進歩したのかと言えば、そうではなく、東電自ら打つ手が分からないことを意味しているからさらに事態は深刻である。 
 
 調査用井戸や海水の汚染濃度が上がっていることを発表し始めたのは6月26日の株主総会後である。総会までは隠していたのではと、疑わしい。 
 
 最初の失策は、汚染水が大量漏えいした後になっても、タービン建屋と海の間に防護壁を築くなどの対策を何も取らなかったことだ。 
 この場所は、海からの取水口配管、温排水の放水口など、地下構造物が多数あり、もともと「強固な地盤」ではない。配管やトンネルなどを敷設した後にバラ石で埋めて土をかぶせ、地上を舗装した。つまり遮水性地盤などではないので、水を止める性能は元々無い。そんな性能が必要だと思って設計もしてはいない。 
 
 タービン建屋の地下に溜まる汚染水は、いずれ配管の貫通口や放流口など外部に出る口を捜して流出し始める。これらを防ぐためにある充填剤などは時間とともに劣化していくのは自明のことだった。 
 建屋コンクリートは強固だから地震で壊れることはないなどと東電は言うが、建屋地下構造はコンクリートのハコではない。無数の配管や電気ケーブルの貫通口がある。そして最大の貫通構造は復水器を出入りする海水の配管だ。建屋との継ぎ目がどうなっているか、誰も見に行けない。 
 
 汚染水の漏えいを防止するには、建屋の外側から遮水構造を作るしかない。第二遮蔽建屋を地下30mまで構築する以外に完全に食い止める方法はない。 


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