2013年07月30日10時13分掲載  無料記事
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アフリカ

【西サハラ最新情報】 アメリカ、西サハラ、日本  平田伊都子

 2011年5月に来日したモハマド・ベイサット西サハラ難民政府全権大使を覚えていますか? 彼は西サハラ難民政府アメリカ代表に新任し、<最後のアフリカ植民地・西サハラ>をオバマ政権にアピールするため、活動を開始しました。 「パレスチナ問題と同様に国連憲章や国際大義に頼る西サハラ問題は、人権や社会正義を看板にしているオバマ政権にぶつけるべきだ」というのが、ベイサットの持論です。 
 アメリカは中南米諸国のように西サハラ難民政府を国家承認していないので、ベイサットは大使ではなく代表ですが、アメリカは西サハラ代表部の設置を認めています。 日本も早く西サハラ人代表と代表部設置を認めて欲しいと願っています。 
 
(1)2013年7月23日、ニューヨークでUSCWS(United States Citizens Western Sahara)<アメリカと西サハラの市民団体>が創設された。カービー・グーキンが議長に、チャールズ・リーブリングとロビン・カーンが副議長に選ばれた。USCWS創会にはジャーナリスト、学生、平和活動家、元外交官などが参加し、これからの行動計画を練った。文化面での西サハラ難民支援とともに、西サハラ民族自決権の行使と脱植民地化をアメリカ議会に訴えかけていくことを決めた。 
 
(2)7月25日、IWMF(International Women's Media Foundation)国際女性報道財団がワシントンで、西サハラ問題を扱った討論会を開催した。参加したジャーナリストたちは、2012年から2013年にかけて西サハラ難民キャンプやモロッコ占領地・西サハラを訪れており、その体験を報告した。「なぜ世界は半世紀近くも最後のアフリカ植民地・西サハラを忘れているのか?」というのが主題だった。ワシントンポストやNPR・USラジオやフリーランサーの女性記者に加え、ボストン・グローブのアデルソン博士は「世界の無関心にも拘らず、アメリカをはじめとする大国はモロッコの西サハラ占領を認めていない」と、発言した。 
 
(3)7月28日、スペイン・ポズエロ市が2,500冊の本を西サハラ難民キャンプに贈った。星の王子様(アラビア語版)など、子供や若者向けの物語や詩集が一杯! 
 スペイン・ムルシア地方州は数台のトラックとバスを西サハラ難民キャンプに贈った。アルジェリアの砂漠にある西サハラ難民キャンプでは、恒常的に食料不足や医療品不足に悩まされている。それに加えて人や物の輸送、車の不足、車の部品不足、特にタイヤ不足は想像を絶するものがある。 
 
 ベイサットや西サハラ難民政府や難民キャンプの人々は、私たちよりずっと世界情勢に明るいし、母国語アラビア語にスペイン語やフランス語が流暢なトゥリ・リンガルでもあります。 ともすれば西サハラの人々が、何もかも不足している難民キャンプ生活という逆境に生きていることを忘れがちです。 しかし、UNHCR国連難民高等弁務官やWFP国連世界食糧計画の支援物資に頼る毎日を送っているのです。 
 
 
WSJPO西サハラ政府日本代表事務所 所長:川名敏之 2013・7・30 
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子 


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