2013年08月11日11時33分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201308111133150

アフリカ

【西サハラ最新情報】 新年おめでとう  平田伊都子

 「クッル アーンム ワ アントム ビハイル」(アラビア語で、今年もあなたにとって素敵な一年でありますように、の意味)と、西サハラ難民キャンプから皆様方に新年の挨拶が届きました。 50度を超す熱砂の難民キャンプでも、一か月にわたった辛い断食月が明け、イスラム教のお祭り<イード・ル・フィトル>(アラビア語で、明けの祭、の意味)が4日間続きます。 
 難民はなけなしの羊を捌いて、羊の丸焼きを食べます。 
 
(1)2013年6月25日、カタールでハマド前首長が四男のタミームに首長の座を譲った。アブデル・アジズ西サハラ大統領はタミーム新カタール首長に、「カタールとモロッコは王室外交で強い絆がある。貴国は対米関係を重視しロシアや中国とも外交関係(1988年締結)があり、国連による紛争当事者間の交渉にも尽力されている。ぜひ、貴国と強い王室外交で結ばれているモロッコに働きかけて、暗礁に乗り上げているモロッコ・西サハラ両当事者の会談を再開させて頂きたい」とのメッセージを送った。返事はまだない。 
 
(2)8月4日、スペイン首相マリアーノ・ラホイからアブデル・アジズ西サハラ難民大統領に宛てて、感謝の手紙が届いた。首相の手紙は、サンチャゴ・デ・コンポステラで起きた高速鉄道脱線事故犠牲者へのお悔みに対する返事だった。が、西サハラ難民政府が期待していた、<モロッコ・西サハラ両当事者交渉>を推進させる言葉はなかった。1975年に当時の宗主国スペインは、植民地西サハラをモロッコとモーリタニアに勝手に分譲して、ずらかった。書類上、西サハラの宗主国はスペインということになっている。 
 
(3)8月5日、ナイジェリア外務大臣モハメド・ノルディンは、西サハラ難民政府駐ナイジェリア大使オビ・バシールに会い、ナイジェリア政府のメッセージを次のように伝えた。「ナイジェリアはアフリカ連合と国連と国際法が保証する、西サハラ脱植民地化を支持する。ナイジェリアは1960年の独立以来、アフリカの独立運動を支援してきた」 
 
 西サハラ難民政府は冠婚葬祭などのあらゆる機会を利用して、各国に西サハラ独立運動への支持を訴えています。 「西サハラは、国連がその解放を目指すアフリカ最後の植民地で、脱植民地化のために国連は西サハラ住民投票を提案した。しかし、西サハラを植民地実効支配するモロッコは国連住民投票を拒否し、国連主催の和平交渉の席に着こうとしない」と、西サハラ難民政府は国際社会の支援を促しています。 しかし、国際社会はアフリカ最後の植民地・西サハラに、なかなか目を向けません。 
 
 <明けの祭>が明ける8月12日からエジプトでは、数千人のムスリム同胞団座り込みを武力排除すると、エジプト軍事暫定政府が宣言しました。 国際社会の目は、アフリカの西ではなく東に向いているのです。 
 
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2013年8月11日 
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。