2013年09月02日11時42分掲載  無料記事
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核・原子力

「フクシマ」は終わっていない(2)やっとできた被災者支援法基本方針案 でも、被災者の声が反映されていない   上林裕子

 昨年6月に全会派一致で成立した「子ども・被災者支援法」。被災者の移住の権利を保障し、長期間にわたる放射能の健康被害の未然防止や支援の必要性が盛り込まれ、被災者の今後の生活の支えとなるはずだった。しかし、成立1年たっても基本方針が策定されず、法律は店晒しのまま。この政府の怠慢を看過できないと8月22日被災者19人が「いまだに基本方針が策定されないのは違法」と提訴、8月26日には支援法の速やかな実施を求めて「原発事故被害者の救済を求める全国運動」が立ち上げられた。これに対し復興庁は基本方針を30日に公表したが、市民側は「既存の施策を並べただけ。被災者の声が反映されていない」と反発している。 
 
 支援法では対象となる被災者を「一定の基準以上の放射線量が計測される地域に居住し、または居住していた者および政府による非難に係る指示により避難を余儀なくされている者並びにこれらの者に準ずる者」と規定、地域ではなく線量で対象を考えるとしている。被災者に対しては「正確な情報の提供」「居住・移動の自由と支援」「健康上の不安の解消」「差別への配慮」「子ども・妊婦への特別な配慮」が基本理念で示され、これに基づき国は総合的な支援を実施する責務があると明記している。 
 
 これにより、福島以外の高線量地域に住む人たちも対象になると期待されたが、基本方針では支援対象地域を福島県浜通り、中通りの33市町村と規定、それ以外の周辺地域を準支援対象地域としているが準支援対象地域に対する支援策については具体的に示されていない。 
 
 支援法第5条には「基本方針を策定する場合は被災者の意見を反映すること」と定めているが、今回被災者の意見を聞くことなく唐突に基本方針が発表されたことに対し被災者からは「手続き違反」との声が上がっている。 
 
 市民や被災者は30日に参議院議員会館で緊急集会を開いた。会津若松市の片岡輝美さんは「会津は準支援対象地域。放射線量が低いとして県内からの自主避難者が多いが、放射線量は事故前の3倍。除染を行うと観光地としてのイメージダウンになるとして市は除染を行っていないが、土壌は4800bqあるところもあり汚染されている。国はどの子も守る責任があるはず」と語る。 
 
 震災直後福島から福岡に避難、現在は京都で避難生活を送っている宇野さえこさんは「困難な中で避難してきた人の中には避難を続けることが難しくなり仕方なく帰る人もいる。支援法は一筋の光と思った。基本方針の策定に関しては避難者の声を聞いて実情に即した支援をしてほしい。そのためには自治体の力も借りてきちんと聞き取り調査をしてほしい。パブコメだけでは実態はつかめない」と述べた。 
 
 我孫子市の藤田美和子さんは「福島第一原発から200km離れているが我孫子はホットスポット。公園などは今でも0.4μSv/hある。子どもだけでなく大人も住んではいけないところだ。今年3月避難先から我孫子に戻ってきた。汚染地域を無視した支援法は理解できない」「関東でも年間1mSv以上のところは対象とすべき」と指摘する。 
 
 19人が提訴した「支援法放置は違法」裁判の弁護団で「福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(SAFLAN)」の大城聡弁護士は、“鏈匱圓力辰傾腓い發覆密室の中で決められた、∋抉臑仂歟楼茲侶茲疂が法律に基づいておらず、準対象地域は実態がない、H錣个を避ける権利、避難する権利が保障されていない、など「基本方針は『名ばかり方針案』だ」と厳しく批判する。 
 
 せっかく全会派一致で成立させた「子ども・被災者支援法」、このままでは「仏作って魂入れず」の状態になってしまう。国会はつくりっぱなしで責任は負わないつもりなのだろうか。 


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