2013年10月14日00時04分掲載  無料記事
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人権/反差別/司法

大阪府警、「不正受給」を口実に市民団体を家宅捜査  生存権を守る運動の抑え込みか

 大阪府警が生活保護「不正受給」を口実にして、大阪市淀川区の淀川生活と健康を守る会に3回、全大阪生活と健康を守る会連合会に2回、さらに10月10日には全国生活と健康を守る会連合会・本部事務所にも家宅慢査を行った。格差拡大と貧困の広がりの中で増え続ける生活保護受給を抑制しようと政府は様々な手を打ってきており、それに対して、市民団体である生活と健康を守る会などの呼びかけで、全国で1万世帯を超える生活保護利用者が審査請求を行っている。大阪府警のこうした動きは、「不正受給」に名を借りた運動弾圧だとして、全国生活と健康を守る会は抗議声明を出し、法的対応も考慮すると述べている。(大野和興) 
 
 大阪府警の捜索理由は、大阪市の淀川生活と健康を守る会元会員の女性に対する生活保護法違反被疑事件であった。10月10日の全国生活と健康を守る会連合会(以下・全生連)事務所の家宅捜索は 大阪府警察本部警備部公安第1課によって行われた。 
 
家宅捜査された生活と健康を守る会は、これは生活保護利用者による審査請求という運動を押さえこむための攻撃と組織弾圧だとしている。 
 
 以下は、10月12日に出された全国生活と健康を守る会の声明である。 
 
★大阪府警の不当・違法な家宅捜索に対する声明文 
 
(1)2013 年10月10日、淀川生活と健康を守る会事務所と全大阪生活と健康を守る会連合会(大生連)事務所、全国生活と健康を守る会連合会(全生連)が被疑者女性 Bに関連して、大阪府警察本部警備部によって家宅捜索を受けた。淀川生活と健康を守る会と大生連の家宅捜索は9月12日に続いて2回目である(このときは 被疑者女性Aに関連して)。 
 大阪府警は2回の家宅捜索とも理由を明らかにしなかったが、新聞各紙は被疑者女性AとBとも生活保護を申請した際に淀川生活と健康を守る会役員が同行したことで大阪府警が捜索をしたと報道している。 
 
(2)そもそも生活保護の申請同行は何ら違法行為ではない。大阪府健康福祉部社会援護課は「相談者本人が第三者同席を求める意思を示したときは、これを確認の上、第三者同席による相談を行ってください」(2007年3月23日付 
大 阪府社援第3626号)という通知文書を各市の福祉事務所に出しており、申請同行を認めている。大生連は、本人が申請同行を求めた場合、同行をして本人の 申請権を守るという立場をとっている。生活に困窮し、生活保護を利用したいと福祉事務所へ行っても、申請させてもらえずに追い返される事例は今もあと絶た ない。こうした実情を反映して日本の生活保護の捕捉率は15%〜18%という低水準に止まっている。したがって申請同行は生存権保障のための大切な権利で ある。 
 
(3)生活と健康を守る会は憲法第25条の「生存権保障の確立をめざし、生活と健康・権利を守る運動をすすめ、福祉と教育の充実 〔略〕社会保障の確立、および平和と民主主義に寄与することを目的」(大生連規約第2条)をもとに60年にわたって運動を続けてきた市民団体である。私た ちは、法律に反することや「不正受給」は絶対に許さない立場を明らかにしており、2009年7月の第31回大生連大会でも「運動は地域住民から支持される 社会的道義にもとづく活動に徹する」と方針にも明記しており、これを内外に明らかにしているところである。 
 
(4)9月12日の捜索は、全 国いっせい生活保護基準引き下げに反対する不服審査請求提出日(9月17日)の直前に行われた。10月10日の家宅捜索は今国会で生活保護改悪法案が審議 される直前である。9月12日に押収した資料の中には大生連がとりくんでいる不服審査請求の集約表なども含まれており、10月10日の押収資料は大生連第 33回大会議決定集と全生連発行の「守る新聞」だけであった。これら資料は淀川の被疑者AとBの生活保護法違反容疑とは何ら関係がない。刑事訴訟法第 102条2項の「被告人以外の者の身体、物又は住居その他の場所については、押収すべき物の存在を認めるに足りる状況のある場合に限り、捜索をすることが できる」という条文から見ても、大阪府警の家宅捜索と押収は不当であり違法である。同時にこのよ! 
うな捜索令状を許可した裁判所の行為も不当とい わざるを得ない。今回の家宅捜索は憲法25条の生存権保障の確立をめざして運動する生活と健康を守る会に対する弾圧以外のなにものでもない。この弾圧事件 対して、私たちは弁護士とともに法的手段もふくめて、毅然とした対応をしていくことを表明する。 
       全大阪生活と健康を守る会連合会 


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