2013年10月22日12時00分掲載  無料記事
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核・原子力

「福島第一原発4号機の燃料プールは人類生存にかかわる問題」 ハーヴェイ・ワッサーマン

  「グローバルリサーチ」(http://www.globalresearch.ca/about)は2013年9月20日、福島原発燃料プールの深刻な危機を指摘し、「国際社会の至急の対応が必要」と国連やオバマ米大統領に訴える、ハーヴェイ・ワッサーマン氏の以下のアピールを発表した。氏は1945生まれの米国のジャーナリスト、作家で再生可能エネルギーの熱心な提唱者の一人。 
 
 人類にとってキューバミサイル危機以来の最も深刻な危機が、これから2か月以内に起こる可能性がある。東京電力が、60日以内に、福島第一原発4号機の燃料 プールから1,300本以上の使用済み燃料棒を取り出す作業を開始するからだ。 
 
 プールは地上約30メートルの高さに設置されているが、プールもそれが設置されている建屋も損傷が酷く、次に地震が発生すれば容易に崩壊する恐れがある。プール内にある約400トンの燃料から放射線が放出されれば、その量は広島原爆のときの1万5,000倍を超えるかもしれない。 
 
ジルコニウム合金で被膜されている使用済み燃料棒は、空気に触れると発火する。被膜されていない燃料棒から放射線が放出されれば、近くで被爆した者はほぼ即 死する。火災が起きれば原発から全員避難せざるを得ず、電子機器の運転ができなくなる。 
 
4号機の燃料プールを空にする作業は技術的にも科学的にも非常に難しいものだが、100%完璧に行う必要がある。もし失敗すれば、燃料棒が空気に触れて発火し、恐ろしい量の放射線が大気中に放出される。プールが落下して崩壊すれば、 プール内の燃料棒が核融合や爆発を起こし、さらには放射雲が発生して全人類の健康と安全を脅かすかもしれない。 
 
 東京電力にも日本政府にもこれに対応するための科学的・技術的・経済的資源がないことだけは確かだ。喫緊の課題は、4号機の燃料プールからできるだけ早く安全に燃料棒を取り出すことであり、そのためには全世界が協調して最高の科学者や技術者を動員しなくてはならない。 
 
 また、東京電力は原子炉への注水を続けており、数千トンもの高濃度放射能汚染水が発生している。汚染水は4号機の燃料プールを支える構造物をはじめ、福島原発に残っている構造物を蝕んでいる一方、太平洋にも流れ込んでいる。 
 
汚染水の大半は現在、原発構内の急拵えの脆弱な巨大タンク約1,000基に保管されているが、すでに汚染水漏れを起こしているタンクも多い。次に地震が発生すれば、全てのタンクが壊れ、半減期の長い放射線物質を含んだ数千トンの水が太平洋に流れ込むだろう。 
 
4号機からわずか50メートルのところにある脆弱な共用プールには、現在、プルトニウムを含む核燃料集合体が6,000本以上保管されている。福島原発には、1万1,000本超の核燃料集合体が散在し、セシウムの量はチェルノブイリの85倍以上になるとも言われる。 
 
チェルノブイリの最初の放射性降下物は、10日以内にカリフォルニアに到達した。2011年の福島の事故の後は1週間もかからなかった。4号機で新たな燃料火災が起きれば、生物を死に至らしめる放射性物質が数世紀にわたって放出され続けるかもしれない。 
 
これは世界中の環境と人類文明の破壊につながる、人類の生存にかかわる問題だ。そして、行動するための時間は2か月もない。 
 
目下、私たちは、燃料棒を安全に取り出すために世界的な科学者・技術者を動員するよう、国連と米国のオバマ大統領に嘆願している。 
(嘆願は以下のサイトからも可能。 
 
http://www.nukefree.org/crisis-fukushima-4-petition-un-us-global-response)>> もっと良い考えがあればそれでも構わない。とにかく、今、早急に何らかの行動を起こさなくてはならない。 
<元記事>http://www.globalresearch.ca/humankinds-most-dangerous-moment-fukushima-fuel-pool-at-unit-4/5350779 >> 
枝廣淳子 edahiro@es-inc.jp > 〒156-0055 東京都世田谷区船橋1-11-12 産興ビル3F イーズ> Tel: 03-5426-1128 Fax:03-6413-3762 http://www.es-inc.jp > 


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