2013年11月02日10時41分掲載  無料記事
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政治

民主国家を揺るがす特定秘密保護法案 「西山事件」の教訓 池田龍夫

  政府が今国会に提出した「特定秘密保護法案」が成立すれば、国が勝手に秘密を拡大解釈し、情報統制が強まる懸念が高まっている。戦前の「治安維持法」の悪夢を指摘する向きもあり、成立を阻止しないと民主主義国家が大きく揺らぎそうだ。 
 
▽「情報公開」のルールを逸脱 
 国家は主権者・国民に最大限の情報を公開し、選挙で審判を仰ぐのが民主主義のルール。これが隠蔽されれば民主主義は空洞化してしまう。 
 
 ここで鮮烈に思い出すのは「西山事件」である。1972年の沖縄返還協定で、米国が支払うとされた原状回復費400万砲鯑本が肩代わり負担した裏約束。この機密文書の存在を察知した西山太吉・元毎日新聞記者が女性外務事務官から密かに入手して暴いた事件だ。 
一審は無罪だったが、最高裁で有罪とされた。しかしその後米公文書や当時日米交渉の当たった吉野文六・元外務省アメリカ局長の証言で、密約の存在が明らかになったが、政府は未だに沈黙し続けている。 
 
▽朝日と西日本新聞の追及に注目 
 朝日新聞と西日本新聞が10月27日朝刊で、西山氏にインタビューし国家機密を論じた紙面には説得力があった。重要箇所と思われる発言の一部を紹介しておきたい。 
 
「2006年に外務省元局長が密約の存在を認めた直後も当時官房長官だった安倍晋三氏も麻生太郎外相も公的な場で『密約は一切ない』と答え、その後も内閣は存在を否定したまま。今回の法案も、ウソをつく人たちが作ろうとしている危険な法案だ」 
 
「背景には米国と機密情報を共有したい政府の思惑がある、しかし、米情報機関がドイツ首相の携帯電話を盗聴していた疑惑が浮上し、米国は同盟国も信用していないと分かった。そんな国が日本に情報をもらすだろうか」 
 
「外交交渉の結果にウソをつけば、政治犯罪になるのです。その意味で、沖縄密約は最高の政治犯罪といえます。東京地裁も東京高裁も認定したにも拘わらず、自民党政権は未だに『密約は無かった』と言っている。国会でウソをつき続けている現政権に、法案を出す資格はないのです」 
 
 まことに重大な警告であり、今後の動向を関し続けなければならない。 


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