2013年11月19日15時29分掲載  無料記事
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核・原子力

【たんぽぽ舎発】これでも科学技術か ? 福島原発 温度、水位、圧力の計測に全面的失敗   槌田 敦

科学者は、科学技術が原子力の安全を守ると約束し、推進してきた。だが、福島原発事故では、科学技術はまったく無能だった事故直後(11年4月4日)、保安院発表のトレンドデータに基づき、解析する。 
 
≪温度、水位、圧力の計測に全面的失敗≫ 
(1) 停電により自動計測不能 
 地震による外部電源喪失と津波による配電盤および非常電源の喪失により温度、圧力、水位など基本データの自動計測ができなくなった。 
(2) 温度計測は、全機で外部電源回復まで8日間不能温度こそ原子炉状態を知る最大の情報なのに、これが得られていない1号機は、データ測定空白の間に炉心空焚き。一切の対策は判断不能の状態。 
(3) 水位と圧力の計測は、1,2号機では7時間、3号機では13時間不能運転員が、蓄電池を計器に差し込み、5分ごとに圧力、水位を読み取るまでの初期の重要な時間、データ完全空白。苛酷事故との判断もできず。 
(4) しかも、原子炉空焚きにより、得られたデータは誤表示 
。読み取った原子炉水位は最大5メートルも高表示で、水は十分にあると誤判断原子炉圧力は最大2気圧も低表示。真空よりも低い値を示すなど矛盾。 
(5) そして、事故翌日12日朝、3号機では、ふたつの水位計は別々の値を表示。この事実から、3号機原子炉も、この空白13時間の間に空焚きになっていた。13日には炉心崩壊への最終段階。隔離時冷却系および高圧注水系どちらも無効。 
(6)データ不明なら、全面的にECCS高圧注水系または低圧注水系に頼るべきそのためには、直流電源が必要。だが発電所からは蓄電池空輸の依頼なし。東電本社は12V蓄電池を小名浜まで大量に陸送したが、発電所には届かず。 
(7) そのうえ、東電は3号機の実測データを全面的に改ざん「実機計測値」という創作データを導入し、各事故調の事故解析を混乱させた。「3号機で隔離時冷却系と高圧注水系は有効に働いた」というお話し作りのためか。 
 
(元理化学研究所研究員) 


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