2013年12月06日11時55分掲載  無料記事
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核・原子力

秘密期間最長60年 福島の原発事故現場の情報は・・・・

  今年2月12日、ウクライナにあるチェルノブイリ原発事故跡の原子炉4号機の機械室の屋根が雪の重みで崩落した。タービンの施設の天井部分で、原子炉の建物ではなかったので惨事には至らなかったが、原子炉施設全体を新たに覆うシェルターを建設中だったフランス企業Bouygues et Vinci の従業員およそ80人はいったん避難した。情報はルモンド、レクスプレス、朝日新聞などによる。記事には原子炉施設の見取り図や新たな建設予定図が添えられている。 
 
  フランス企業は1986年に建てられた原子炉を覆う壁の解体作業と、新たな覆いの新規建設作業を請け負っていたのである。作業は2015年夏に完了する見込みらしい。だが、タービン(機械室)の建物が崩落したことから、原子炉全体を覆う「石棺」も崩落しかねないという危惧もある。タービンの建物には基本的には放射性物質の大量の蓄積がなかったので今回はほっと胸をなでおろしたが、石棺で崩落事故が起きるとかなり危険になる。つまり封じ込めてきた放射性物質が再び建物の外部に拡散してしまう危険性だ。そうなると、建設作業も中止を余儀なくされるだろう。 
 
  チェルノブイリ原発事故が起きたのは1986年4月26日である。今回の崩落事故が起きたのはあれから、およそ27年後になる。仮に2011年に起きた東日本大震災で同様の想定をすると2038年になる。その時、このような新たな崩落事故が起きた場合にそれをどこまで報じることはできるのだろうか。もし放射性廃棄物に対するテロ対策で特定秘密に指定されればこうした詳細な報道は不可能になるだろう。しかし、福島の住民にとっても作業員にとってもまだまだ長く続く身近な脅威である。 
 
  2014年に特定秘密保護法がもし施行され、福島第一原発事故現場の情報が特定秘密になったとしたら、最長で2074年までその情報に市民がアクセスすることはできなくなる。 
 
 
■現地見取り図の添えられたルモンド記事「チェルノブイリの石棺に崩落の恐れ」 
http://www.lemonde.fr/europe/article/2013/02/14/le-sarcophage-du-reacteur-de-tchernobyl-sous-la-menace-d-un-effondrement_1832714_3214.html 
■L'express誌’Tchernobyl: Bouygues et Vinci ont évacué "par précaution" leur personnel’フランス企業職員を避難させる 
http://www.lexpress.fr/actualite/monde/europe/tchernobyl-bouygues-et-vinci-ont-evacue-par-precaution-leur-personnel_1220123.html#Uoqzw4JUswEJFLsf.99 


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