2013年12月24日00時23分掲載  無料記事
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核・原子力

フクシマはおわっていない(3) 原発推進の「エネルギー基本計画」に、パブコメで反撃しようと市民団体が呼びかけ 上林裕子

 2012年に国民的議論によって作り上げた「原発ゼロ」のエネルギー計画を安倍政権はいとも簡単にひっくり返してしまった。政権が変わったからと民意を無視してよいわけがないと市民団体はパブコメで押し返そうと運動を展開している。 
 
 政府は原発を「準国産エネルギー」とよび、エネルギーの基盤と位置付ける「エネルギー基本計画」を策定した。唐突に出てきたこの基本計画は経済産業省資源エネルギー調査会基本政策分科会でろくに議論もされずに、1月6日まで1ヶ月間の意見聴取(パブリックコメント募集)に付された。「3.11の福島原発事故を考えると原発に依存してはいけないなければならないのはわかっているが、いろいろなエネルギー源について検討し、地球温暖化のことを考えると、やっぱり原発に当面頼るしかないんだよね…」というこの基本計画は、何のことはない3.11以前のエネルギー計画そのものなのだ。 
 
 2012年9月に政府は国民の8割以上の支持を得て「革新的エネルギー・環境戦略」をまとめ、脱原発の姿勢を明確にした。このエネルギー基本計画では「原発に依存しない社会の1日も早い実現」を目標に、(1)40年運転制限制を厳格に適用する (2)原子力規制委員会の安全確認を得たもののみ、再稼働とする (3)原発の新設・増設は行わない、ことを原則とした。 
 
 しかし、今回発表された基本計画は「はじめに」の部分で「安全神話に陥り、シビアア・アクシデント対策を講じることができなかったことを深く反省」「福島の事故を深く反省し、福島の再生・復興に取り組んでいくことがエネルギー政策を再構築することの出発点となる」としながら、石油、石炭、天然ガス、再生可能エネルギーなどの長所・短所をあげ、結局ベース電源としては原発が適切であると位置づけている。 
 
 今も故郷を離れて避難生活を続けている14万人の人々、放射能の健康影響におびえながら福島で暮らす人々にとって原発事故は終わっていない。いまだに汚染水の処理も除染も進んでおらず、事故原因も明確になっていない中で「でもやっぱり、原発はクリーンでコストも安く、安定したエネルギー源です」といわれて、納得がいくと思っているのだろうか。 
 
 市民団体は、国民的議論によって決めた脱原発の方針を無視し、原発稼働・核燃料サイクル推進へと舵をきる政府に「原発NO!」を突き付けるために「みんなでパブコメを出そう」呼び掛けている。 
 パブコメ提出…ウェブから出す場合は 
 http://p.tl/-Bh8 
(電子政府の総合窓口) 
 市民団体のパブコメチラシは 
http://publiccomment.wordpress.com/ 


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