2014年01月01日19時24分掲載  無料記事
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社会

パリの公共自転車レンタルシステム Velib’ 

  パリには地下鉄が発達しているから、基本的には移動はできる。だが、決まったルートでなく、自由にあちこちを早く移動したいときに自転車が欲しいと思うことがある。しかし、自転車を買うのもな、と思った時に「ベリブを使えばよい」と友人が教えてくれた。 
 
  さっそく「ベリブ」なるもののウェブサイトをのぞいてみた。ベリブ(Velib')とはパリに発達した公共の自転車レンタルシステムのことだ。あちこちにステーションがあるようだ。ベリブの良さは借りた駐輪場(ベリブステーション)に返す必要はなくて、使った後は近場にあるステーションに返却すればよいことだ。支払いはクレジットカードである。年会費は基本が1年の会費で29ユーロ(約3770円)。多少会費のバリエーションがある。いずれにしても、使って30分以内に返せば追加料金はない。ただし、30分を超えた場合は超過時間によって追加料金を払わなくてはならない。また1日単位で会費を払う選択も可能だ。1日会費は1.7ユーロ=約220円だ。観光客にはもってこいだろう。 
 
  画期的なシステムである。これなら不法駐輪とか廃棄自転車とか盗難もなくなるんじゃないだろうか。日本も早く導入すべきだ、と思った。実際、僕の住んでいるモンマルトルの近所にもステーションがあることがわかった。用事があったのでさっそく借りに行ったのだが・・・。なんと駐輪場には一台も自転車がなかったのである(写真1)。午前11時だった。どういうことだろう。 
 
  一方、ルーブル美術館に近いステーションに行ったら、この通り(写真2)、自転車がずらりと並んでいたのである。つまり、ステーションによって、そしておそらく1日の時間帯によって、自転車の集中度が決まっているのではないか、と思われた。 
 
  「自転車は観光客というより、生活者の普段の通勤に使われることが多いんだよ」 
 
  と教えてくれた人がいる。もちろん、そこで暮らす人のために使われて当然である。だから、ユーザーは朝出かけたら、職場の近くに自転車を置いて夕方の帰宅までそのままにしている可能性が高い。自転車の偏在はそれで説明がつきそうだった。モンマルトルの住民がパリ中心部に自転車通勤していると想像したのである。 
 
  後日、僕はモンマルトルで市の職員らしい人間が自転車を補給している様子を見かけた(写真3)。トラックから自転車を次々と下ろして駐輪場に並べていたのだ。しかし、この循環作業がうまくいかないと自転車の偏在の問題は解決されないだろう。 
 
  さらにベリブの自転車は盗難が多発していて、1説によるとアフリカや東欧などの海外に闇輸出されていることもあるらしいのだ。ベリブのサイトによると2012年だけで9000台の自転車が盗難されたか、破壊されたかでロスとなったそうである。自転車は1台につき約5万円。このように課題はいろいろありそうだが、パリには自転車専用道路も発達しているし、基本的にベリブは優れたものだと思う。問題は不確実性である。だから、その課題を何とかしてもらいたいと思った。 
 
  そして、日本でもこのようなシステムを構築するか、そうでなければ公共の駐輪場をベリブ並みに設置してもらいたいと思うのである。これは喫煙防止と違ってストレス解消にもなるし、よほど健康によいと思われる。都心に駐輪場があれば自転車通勤したいという人は少なくないはずである。それは電車のラッシュを緩和することにもつながるのである。首都圏の通勤ラッシュは改善すべき大きな課題なのである。 
 
 
■Velib’のホームページ 
http://www.velib.paris.fr/ 
 
■NYT’A New Fashion Catches On in Paris: Cheap Bicycle Rentals’ 
http://www.nytimes.com/2008/07/13/world/europe/13paris.html?_r=0 
  ベリブ登場の翌年のNYTの記事(2008年)。自転車数は約20600台。ステーションは1450か所。約270メートルごとにステーションがある。 
 
■駐輪場が欲しい! 
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