2014年01月03日08時42分掲載  無料記事
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欧州

欧州連合 〜英国と独仏の確執〜2013年のキャメロン首相の国民投票宣言の波紋〜

  経済危機にある欧州連合はその存在が揺らいでいる。今年の欧州議員選挙では欧州連合からの離脱を志向する右翼政党が躍進するのでは、との見方も出ている。 
 
  こんな中、昨年の英国のデビッド・キャメロン首相の発言がさらに波紋を呼んでいる。もし2015年の総選挙でキャメロン率いる保守党が政権を維持できれば、2017年までに英国で<欧州連合にとどまるか、離脱するか>を決める国民投票を実施すると宣言したことだ。キャメロン首相の発言は37分におよぶもので以下のテレグラフ紙のウェブサイトで視聴できる。キャメロン首相が非常に演説が巧みであることがわかるだろう。英語学習教材の吹き込みをお願いしたいくらいの人である。 
http://www.telegraph.co.uk/news/newsvideo/uk-politics-video/9820375/David-Camerons-Europe-speech-in-full.html 
  ここで彼は欧州連合の問題点と改善点を指摘している。問題点として大きく3つあげている。 
 
 扮儿颪六臆辰靴討い覆い)共通通貨ユーロの通貨管理が不安定である 
欧州の競争力がアジアやアメリカに比べて低下している 
2そO合間に経済格差があり、経済が不調の国々への支援に先進国の国民が嫌気がさしている 
 
  キャメロン首相はこれらの問題に対して、5つの対策を挙げている。これらを要約すれば以下のようになる。 
 
  競争力を上げる対策を行う事。その柱は欧州連合が1つの自由市場であること。つまり規制緩和し自由市場を欧州域内に作れば加盟国内の競争が激しくなり欧州の競争力が高まる。その結果、アジアやアメリカに対しても競争力が高まるということ。 
 
  さらに欧州連合内においては柔軟性を持ち続けることが大切であると言っている。同一基準にすべての国を縛るべきではないというのである。国の政策の自由度を維持すること。 
  また、ギリシア通貨危機のようなことを起こさないために国々の政策の責任を明確にすること。これはギリシア通貨危機のようなことを起こさないように、財政の透明度を高めることでもある。 
  そして、国々によって加盟することでむしろ損をすることが(力を失う事)ないこと。 
 
  キャメロン首相は単一自由市場の形成こそが英国が欧州連合に参加する意味だと言っている。これは欧州連合の新自由主義化であり、大陸の英仏の考える欧州とは大きな開きがある。 
 
  キャメロン首相はこれらを欧州連合に提案しつつ、2017年までに国民投票を行うとする。国民投票を行うことで、欧州連合を引っ張っているドイツやフランスに対して譲歩を迫っていると受け取れる。これに対して欧州連合の柱であるドイツのギド・ヴェスターヴェレ外相(当時)は「いいとこだけ取ることはできない」と強く批判した。この会見は49秒で以下のテレグラフ紙のウェブサイトで見ることができる。 
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/europe/eu/9821136/Cherry-picking-EU-benefits-not-an-option-Germany-warns-David-Cameron.html 
  'cherry-picking is not an option," (チェリーピッキングは許されない)とヴェスターヴェレ外相は英国に対して言っている。 
ギリシアへの支援策をしぶしぶ認め、血を流してきたドイツから見ればキャメロン首相の発言は単一自由市場だけを手に入れようとする都合の良い考え方に見えるのだろう。 
 
 
■キャメロン首相は欧州連合には現在、次のような多様性があり、それをむしろ大切にすべきだとする。 
 
  ’Some will claim that this offends a central tenet of the EU’s founding philosophy. I say it merely reflects the reality of the European Union today. 17 members are part of the Eurozone. 10 are not. 
26 European countries are members of Schengen including four outside the European Union Switzerland, Norway, Liechtenstein and Iceland. 2 EU countries Britain and Ireland have retained their border controls. 
Some members, like Britain and France, are ready, willing and able to take action in Libya or Mali. Others are uncomfortable with the use of military force. 
Let’s welcome that diversity, instead of trying to snuff it out.’ 
 
・ユーロ加盟国は17か国で、10か国は参加していない 
・26か国(欧州連合以外の4か国も参加している)はシェンゲン協定に参加しているが英国とアイルランドは参加していない 
・英国とフランスはリビアとマリに派兵したが他の国々は派兵に参加しなかった 


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