2014年01月13日07時07分掲載  無料記事
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安倍政権を検証する

安倍政権の「ニュースピーク」 〜特定秘密保護法の「又は」と「かつ」〜 自民党と官僚の日本語に対する攻撃が続く

  教育を改変しようとしている安倍政権だが、一方で日本語に対する攻撃はやむことがない。「積極的平和主義」という言葉の本質は戦争、もしくは戦闘行為にある。これは平和という言葉を汚すだけでなく、言葉に対する攻撃と呼んでもいいだろう。すでに多くの人が指摘するように、ジョージ・オーウェルが未来型独裁国家を描いたSF小説「1984年」で国民が強要される人工言語「ニュースピーク」と通底する言葉である。ニュースピークの象徴的なスローガンは「戦争は平和なり 自由は隷従なり 無知は力なり」である。積極的平和主義はこれと同質の言葉である。 
 
  他にもある。昨年、特定秘密保護法案で登場したテロリズムの定義である。 
 
  テロリズム=政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう。 
 
  この定義には3つの構成要素が書かれている。 
 
\治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、 
∨瑤麓匆颪防坩村磴靴は恐怖を与える目的で人を殺傷し、 
K瑤禄斗廚併楡澆修梁召諒を破壊するための活動をいう。 
 
  内田樹教授がすでにブログで指摘済みであるが、これらは接続語の「又は」でつながれている。もしそうなら、「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し」だけでもテロリズムに該当することになる。「又は」で接続されている言葉だから、後ろの「殺傷」や「破壊」が伴わなくてもかまわないことになるのだ。日本語の伝統用法ではそうである。しかし、これがテロリズムとなったら、どんな主義主張であれ「強要」したらテロリズムとなるが、強要の意味ですら、自民党がどのように考えているか不明だ。これが特定秘密保護法が日本国憲法に反している理由の1つである。 
 
  「又は」は「かつ」とは反対の接続詞である。「かつ」は双方を同時に要求される言葉だが、「又は」は「あるいは」と同じで、どちらも含むという表現である。ところが、国会審議の場で森担当相はこれは「かつ」の意味である、という風に弁明した。もしそうなら日本語の改変であるばかりか、自民党はその場、その場で解釈を恣意的に変更する可能性があることを示している。法律の条文で日本語が出鱈目に使われるのであれば日本語に対する攻撃というのみならず、法律全体あるいは日本文化全体に対する攻撃であろう。選挙で多数派を握ったからというだけで、日本語を恣意的に改変してよいのだろうか。森担当相はそんな屁理屈を述べるくらいなら、条文を「かつ」に改めるべきだ。無理すぎるから。 
 
 
■新訳 ジョージ・オーウェル著「1984年」 〜近未来の人間の言葉とは?〜 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201012181600396 
 
■新聞の翻訳力 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201112290728394 
 
■ペンギンブックス「1984年」 
http://www.penguin.co.uk/nf/Book/CoverImagePopup/0,,9780141191201,00.html 
  有名な言葉'War is peace, Freedom is slavery, Ignorance is strength'(戦争は平和なり、自由は隷従なり、無知は力なり)。オーウェルが描いたこの独裁国家では、独裁政権が言葉を組織的に改変して、市民が自由に思考できないようにしている。ソ連であれ、クーデター後のチリであれ独裁政権は常に放送局を独占した。 


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