2014年02月08日15時30分掲載  無料記事
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政治

原発に頼ってきたことがどれほど人を傷つけて、命を落としてめて行ったかという事を、私は現場で見て来たんです 桜井南相馬市長、都内で語る

 明日投票日を迎える東京都知事選挙。最大の争点はやはり脱原発か原発推進か、だろう。東京電力福島第一原発の暴走で深刻な放射能被害をいまも受けつつある福島の人びとは、この選挙をどうみているか。ここにその解答の一つがある。脱原発を掲げる細川候補の応援に駆け付けた桜井勝延南相馬市長の、多くの人に感動を与えたスピーチである。桜井市長は大雪の都内で、今日も街頭に立っていると聞く。2月2日、都内での桜井市長のスピーチを紹介する。(大野和興) 
 
桜井南相市長演説(2月2日、有楽町イトシア前) 
動画 http://www.ustream.tv/recorded/43359263(20:40から) 
 
 ただいまご紹介いただきました。福島県南相馬市長の桜井勝延でございます。1月19日執行の市長選挙において圧倒的な市民の支持を得て、脱原発の考え方を全面に出して、多くの市民から支持を得ました。これは一重に、原発に頼ってきたことがどれほど人を傷つけて、命を落としてめて行ったかという事を、私は現場で見て来たんです。。 
 
 あの震災直後、21メートルの津波が南相馬市を襲いました。635人が命を落としました。111名がまだ見つかっておりません。家族とも面会できていません。その時3月12日に福島原発第一原発が爆発。家族の捜索ができないまま、避難させられたんです。 
71500人いた南相馬市民のうち、6万人以上が故郷を離れなければならなかった。なぜ人が強制的に、自分の場所を離れさせられなければならないのか。 
 
 私は選挙戦の最中で、仮設住宅に住む方々に圧倒的に支持されたと考えています。彼らが今、私に対して、問いかけてくる言葉は、「助けてください」、「市長、助けて下さい」、「もう、仮設では住みたくない」そういう言葉を投げかけているんです。我々は80歳を過ぎた高齢者が「助けてください」と言って、家族とバラバラにされて、孫とも子ども離ればなれになって住まわされていことを東京の皆さんは本当に知っているのでしょうか。 
 
 私は命があってこそ、この地球があってこそ、幸せを勝ち取れると思っています。南相馬市には原発は無かったんです。にもかかわらず、原発事故で追い出された市民が、6万人以上も居て、今現在も2万5千人を超える市民が避難をさせられているんです。これが正常だと思いますか、みなさん。彼らに、お金で元通りの生活など返せるわけが無い。 
 
 東京電力の広瀬社長、私が東京電力に行ったとき、一階で、新橋の一階で南相馬市民の私を含むめた代表に対応させたんです。ふざけてるじゃないですか。本当に、あの一階フロアで対応させられた。なぜこんな屈辱を受けなければいけないのですか?東京電力、原発事故が起きてから南相馬市に見学をよこしたのは10日後ですよ。その間、私は市民の命を守るために、私の独自の判断で市民を避難させました。3月16日に、新潟県泉田知事から、新潟県は南相馬市民全員を受け入れると言っていただきました。私は、天から、神からの声の様に嬉しかった。 
 
 市民の命を守るのが政治家じゃないですか。政治家が命を守れなくてどうするんですか。東京にオリンピック、いいですよ。でも、現場でどういう事が起きているか、皆さん分かってますか。今、建設現場、建築現場は東京に引き揚げられてるんですよ。大手ゼネコンは東京の方が儲かるんですよ。なぜ福島が犠牲にならなければいけないんですか、これ以上。 
 
 原発で、危険な電力で、東京は豊かになったんじゃないですか。その東京が豊かになって、地方が捨てられる、こんな現実許されませんよ。 
 
 皆さん、命を守る事は共通なんです。東京で生活することも、田舎で生活することも、同じ命を守る事なんです。なぜ、田舎が年寄りだけにされて、私に「助けてください」と言わなきゃいけないんですか。東京が助けるべきでしょう。今まで使い続けた電力で、なぜ我々が犠牲にならなければいけないんですか。今、南相馬市の予算は1千2百億ですよ。その内の半分以上が除染に使われます。どこにもっていかれるんですか、この金は。東京じゃないですか。東京のゼネコンが福島に原発を起こして、福島に金を起こして、また福島から金を奪っていく。そんな事が許されますか。東京を変えなければいけないんです。 
 
 私が細川さんを応援に来た理由は、佳代子夫人が、国が20キロ、30キロ線引きをしたとき物が一切入らなくなったときに、そのとき彼女は私のところにガソリンを運び、物資も運んできたんです。今、命の防潮堤を作ろうとしています。津波で亡くなった方の命を再生させるのが、私の仕事なんです。そのときに瓦礫をつかってでも、植林をして、命をまもる防潮堤をつくって先頭に立っているのが、細川護煕元総理なんです。だから私は、ここに応援に来ているんです。 
 
 今、この争点は「脱原発」とかいう甘い言葉じゃない。命を守るかどうかなんです。命を守る人間に投票しなくてどうするんですか。あの時に、私が国から線引きされ、棄民かされた時に守ったのが、細川佳代子であり、細川護煕なんです。東京は命を軽く見ている。こんな東京にしといていいんですか。絶対ダメですよ。東京が豊かになるということは心が豊かになることなんです。東京から日本を変えて、世界中を変えようではないですか。私はそのために、南相馬から福島を変え、国を変え、世界を変えるんです。どうか戦いに一緒に手を結ぼうではないですか。一緒に頑張りましょうよ。お願いします。 


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