2014年05月07日12時00分掲載  無料記事
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アフリカ

【西サハラ最新情報】 砂漠で寝転がって楽しむ難民映画祭 平田伊都子

 2014年4月29日から5月3日まで、第11回FiSahara・フィサハラ西サハラ難民映画祭が、西サハラ難民キャンプの一つ、ダハラ・難民キャンプで行われました。 アルジェリアの北西チンドゥーフには、五つの西サハラ難民キャンプが点在しています。 一つの難民キャンプには5万から6万の西サハラ難民が住んでいて、夫々のキャンプに故郷の地名をつけ州の扱いをしています。 UNHCR国連難民高等弁務官とWHO世界保健機構は、伝染病の蔓延を恐れて、難民キャンプを難民センターから50KMから100KM以上離して設置しています。 一番遠いダハラ難民キャンプに行くには、160KMも、道も道標もない砂漠を越えていかなければなりません。 
 
(1)2014年4月29日、日暮れとともにダハラ難民キャンプの住人が、キャンプの中心にある広場に集まってくる。日干し煉瓦をつんで漆喰を塗っただけの粗末な野外舞台にスクリーン代わりの布が張られ、第11回FiSaharaフィサハラ・西サハラ難民映画祭が始まった。アブデル・タレブ・オマル西サハラ首相の挨拶、文化大臣、映画学校校長と、、主宰者の挨拶が続く。この日、国連安保理で西サハラ決議2015が出されたこともあって、西サハラ首相の挨拶はいつもより長〜い。毎度聞かされる難民映画祭の意義と位置づけの固い話に、難民の観客たちはうんざりするのだ。早々と、砂の上に横になる難民も出てきた。 
 
(2)4月30日、第11回映画祭は故ネルソン・マンデラを偲ぶ会でもあった。主賓のアンドリュ・ムランゲニはネルソン・マンデラの同志だった。「西サハラ人民の独立闘争は、アパルトヘイト・人種隔離政策に立ち向かった南アフリカ人民の闘争と同じだ」と、演説を始めた。26年間、マンデラと共にロベン島の獄に繋がれていたアンドリュ氏は、故マンデラ大統領に変わらぬ尊敬の念を捧げる西サハラ人民に感謝し、「マンデラは人権と正義と民族自決権を尊び、自由と尊厳に生きた」と、結んだ。 
 
(3)5月1日、暗くならないと映画上映はできないので、昼間は遠路はるばる砂漠を渡ってきた外国の来賓のために、西サハラ民族舞踊と民族文化が披露された。 この文化祭も、西サハラ難民政府関係者たちの長い演説で始まった。「音楽や踊りだけではなく、服装も伝統も生活習慣も西サハラはモロッコと違う。モロッコは主として<山の民>で、西サハラは<砂漠の民>である」と強調した。難民の参加者は少ない。みんな夜の映画祭に備えて昼寝をしていたからだ。 
 
(4)5月1日夜、アメリカの映像作家で、記録映画<汚い戦争>を編集し脚本も手掛けたデヴィッド・リカーは、「私が会った西サハラ難民の人びとは、老いも若きもみんな一つの夢を共有している。それは、祖国の独立という夢だ」と、語った。初めて西サハラ難民キャンプを訪れたリカーは、「二日間、難民のテントに泊めてもらったが、まるでその家族の一員であるかのようなもてなしに、感激した。映画学校で少々教えたが、もっと大事なことを教えられたのは私の方だった。西サハラの人々と出会えたことに感謝している」と、リカーは続け、帰国後は西サハラ問題をアメリカ人に広く報告することを約束した。 
 
(5)5月3日、第11回FiSaharaフィサハラ西サハラ難民映画祭は閉幕した。<白ラクダ>フィサハラ最優秀賞はスペインの<Legnaレグナ>に贈られた。ホワン・イグナシオやホワン・カルロスなどが西サハラの詩をテーマにして作った作品だ。二位はアメリカのクリント・イーストウッドの作品<Invictus負けない者たち>で、南アフリカに於けるマンデラのアパルトヘイト闘争を主題にしている。三位はアメリカの記録映画<汚い戦争>だった。 
 
 何故、こんな一番遠く離れたダハラ・キャンプで難民映画祭をやるのでしょうか? 
 それは、他の難民キャンプ同様にガス水道電気もないうえ、交通手段も一番乏しい砂漠の孤島ダハラ・キャンプの難民に、楽しい夜を届けたいからです。 そして、四駆に乗せ長時間にわたる砂漠の過酷な走行を強いて外国人報道関係者を案内するのは、世界の人々に難民生活の実態を知って欲しいからです。 
 故郷のダハラは砂漠ではありません。 大西洋の荒波に洗われる港町なのです。 
「来年は故郷のダハラで、波の音を聞きながら映画を見たいよ」と、友人のモハンマドがこぼしていました。 
 
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2014年5月7日 
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子 


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