2014年06月09日06時10分掲載  無料記事
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欧州

父ルペンのレイシスト発言を娘マリーヌがたしなめる 国民戦線幹部からは「引退せよ」  〜国民戦線名誉会長の行方は?〜

  かつて極右政党と呼ばれ、周辺の小政党でしかなかった国民戦線は二代目党首マリーヌ・ルペンの悪魔的イメージからの脱出を図るソフト化路線が功を奏し、このところ三大政党の一角に浮上することができた。 
 
  そんな今、マリーヌの父親のジャン=マリー・ルペンが再び反ユダヤ主義の発言を日曜に行い、その映像がフランス全土に流れ、大きな怒りと反響を呼び起こした。それに対し、国民戦線幹部からは父親に引退を迫る発言が起きたほか、娘から初めて公式にたしなめられる結果となった。 
 
  MYTF1Newsによるとその発言とは数人の歌手に対して敵意を示し、"On fera une fournee la prochaine fois"(次回は竈を作ろう)という言葉を使ったことのようである。fourneeが竈であり、これがアウシュビッツのガス室を想起させたようだ。歌手にはPatrick Bruel 、Guy Bedos, Madonna 、 Yannick Noahなどが含まれるようである。歌手たちが国民戦線に反対していたことが原因らしい。 
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/europe/france/10885098/Fury-over-Jean-Marie-Le-Pens-anti-semitic-remark.html 
  今回父ルペンから攻撃を受けたユダヤ系の歌手Patrick Bruelは「ナチに虐殺された600万人のことを思うと悲しい」と述べたそうだ。しかし、「僕自身は別に悲しくはない。国民戦線の真実の顔がはっきり見えたと言う事さ」と言った発言をしているとTF1で報じられている。 
 
  ジャン=マリー・ルペン(85)は2011年に党首の座を娘に譲って名誉党首となっているが、ガーディアン紙によると先月も「エボラウイルスは人口爆発を止める特効薬であり、欧州の移民問題を解決する」といった発言をして問題視されている。 
http://www.theguardian.com/world/2014/may/21/jean-marie-le-pen-ebola-population-explosion-europe-immigration 
  2011年以来、娘がコツコツ極右政党からの脱皮を図ってきた成果を父親が振り出しに戻そうとしているかのようだ。昨年秋、マリーヌ・ルペン党首は「今後、国民戦線を極右と呼んだら訴える」と記者会見をしたが、その恫喝を名誉党首である父親が骨抜きにしているのである。 
http://www.france24.com/en/20131004-marine-le-pen-france-national-front-far-right-press-politics/ 
 
 
■解放されたパリジェンヌが歌う「フランス人全員がファシストなわけじゃない」 
http://www.nikkanberita.com/index.cgi?cat=special&id=201011262033115 


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