2014年08月03日14時45分掲載  無料記事
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地域

【秩父市民新聞】秩父市で水道料大幅値上げの動き、 解決策は広域化と民営化というが…

 自治体の水道事業が各地で問題になっています。大阪市では橋下市長が水道民営化を打ち出し、水道事業の運営責任が不透明になり、効率優先で水質悪化などが懸念されるなどの声が市民から上がり、反対運動が動き出しています。首都圏の西のはずれの山間地に位置する埼玉県秩父市では、市が17・5%という水道料金の大幅値上げを打ち出しています。(大野和興) 
 
秩父市は昨年4月、日本水道協会に経営診断をあおいだところ、70%程度の値上げが必用との診断結果が出ました。それを市の水道事業経営審議会にかけてところほぼ半分の35%値上げという答申が出ました。答申を得た秩父市はそれをさらに二分の一にした17・5%値上げを打ち出したものです。まるでバナナのたたき売りのようなやり口に市民の不信が高まり、値上げの積算根拠への疑問が広がりました。その疑問を形にしようと、秩父市ではいま市民グループによる「水道料金を白紙に戻してください」と市長に要請する署名運動が始まっています。 
 
 市民の疑問は、出来るだけ市民に知らせないという形に終始した値上げ案提示に至る市当局の対応の問題から始まり、市が提示した水道事業計画の中身まで多岐に及んでいます。大幅値上げの理由は施設の老朽化で、水漏れが30%ある(全国平均は10%)、人口減少で水道の利用料が減った、といったことです。しかし、そこまで放置していた水道当局の責任については何の言及もなく、その始末を値上げという形で市民に押し付けています。 
 
 事業計画の中身も、専門技術者の見解を求めたところ、いくつもの疑問が提示されました。水道の将来像についても、5年後には再値上げが既定路線として語られ、具体的対策は広域化と包括的事業委託、つまり民営化という各地の水道事業で失敗している方向が提示されているにすぎません。 


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