2014年08月17日16時31分掲載  無料記事
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反戦・平和

安倍政権の武器輸出解禁 兵器産業のグローバル化へ

  今から2年半前、「新聞の翻訳力」というコラムを書いた。そこでは武器輸出三原則が解体されようとしていることへの危惧を、監視する新聞の「翻訳力」の低下と結びつけて書いた。 
 
  「12月27日火曜の朝日新聞夕刊には「武器輸出三原則を緩和〜国際開発や人道目的〜」という見出しの記事が掲載された。その記事はほとんど政府発表をそのまま転載したかのような印象がある。だが、「人道のために武器輸出を拡大します」と言われて、どこかおかしいと感じないだろうか。過去10年、人道や民主主義のために何十万人が殺されただろう。世界に蔓延しているのは民主化や人道といった表向きの美辞麗句だが、裏にはドロドロの欲望と利権とエゴイズムが渦巻いている。」 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201112290728394 
  あれから1年が過ぎ、この春、安倍政権はついに武器輸出三原則をつぶして、「防衛装備移転三原則」というわかりにくい言葉をかぶせた新原則に改めた。再び朝日新聞(7月18日)によると、以下の3つ。 
 
々餾歉鯡鵑琉稟森颪覆匹砲詫⊇个魘愡漾
⇒⊇个鯒Г瓩訃豺腓髻嵎刃孫弩ァ廖峅罎国の安全保障に資する場合」などに限定し、厳格に審査 
L榲外使用や第三国への移転が行われないように適正管理 
 
  ところが、安倍政権はいきなりこの三原則すらもなしくずしにするかのようなケースを承認した。輸出先は米国で、輸出するモノは地対空ミサイルPAC2の目標を探知するセンサーの部分だとされる。朝日新聞によると、ミサイルメーカーは米国のレイセオン社、部品を販売するのは三菱重工である。 
 
  「新原則では、輸出した武器が転売されないよう、第三国に移転する場合は、原則として日本の事前同意が必要だ。ただ今回のように製造元に部品を輸出する場合は例外とし、事前同意は必要ない」(朝日新聞) 
 
  これでは新三原則はほとんど意味なしではないか。安倍政権が武器輸出三原則を変えた目的は今のままでは日本の兵器製造が高額なものになってしまうため、国際間で協力することで購入コストが下げられる、ということが目的だったはずである。ところが、その場合、国際間で協力して作るのだから、部品を作ることの方が圧倒的に多いのではないだろうか。もし、そうならこの新三原則は最初からザルの原則と言えることになる。 
 
  米国はこのPAC2をカタールに販売すると言うのだ。カタールは潜在的に紛争を抱えた中東の国である。世界の火薬庫の1つの地域である。そしてカタールは米国と味方のようでいながら、裏でイスラム原理主義勢力を支援していると欧州メディアは繰り返し報じている。さらに米国はこのPAC2を過去に、サウジアラビアやイスラエルにも販売してきたとされる。こうなると、日本は世界の紛争に武器の面で介入することになる。そして、儲かるのは軍事産業であり、そのような状況で日本国内で日本国民が平和を唱えることが次第に虚無となっていくだろう。 
 
  「さらに疑問なのは「三原則の理念を踏まえ、輸出した武器が事前同意なく目的外に使われたり、第三国に移転されたりしないように「厳格な管理」を前提とする」と説明されていることだ。そもそも武器は使う前に生産国に<使っていいですか>といちいち同意を取り付けるものか。そんなまだるっこしいことはしないだろう。兵器が多種多様に存在すればそんなことをしているだけで日が暮れてしまうだろう。そして兵器は戦場で勝った側が相手の兵器を没収して自ら使ってしまうものである。」(日刊ベリタ) 
 
  「言葉に対するこの不誠実さにジョージ・オーウェルの近未来小説「1984年」を思い出す向きも多いだろう。オーウェルが描いた全体主義社会は「戦争は平和なり。自由は隷従なり。無知は知なり。」という不気味なスローガンを掲げていた。戦争は平和なり。こうしたナンセンスな言葉を常用することで、人々の価値観を麻痺させてしまうのである。」(日刊ベリタ) 
 
  こうして日々、安倍政権の言動を見ていくと、安倍政権はオーウェルが「1984年」で描いた「戦争は平和なり」をモットーにする独裁政府に限りなく近づいている。そして、オバマ政権はそれに目をつぶっている。いずれは核兵器の部品すら売り始めるかもしれない。核抑止論者によると、核兵器くらい世界の平和のために貢献するものはないと考えられているからだ。 


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