2014年11月09日23時37分掲載  無料記事
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ドキュメンタリー映画「日本と原発」

   監督が河合弘之、構成が海渡雄一という二人の弁護士がメガホンを取って作ったドキュメンタリー映画「日本と原発」が公開されました。さっそく六本木の映画館「シネマート六本木」に見に行きました。いったいどんな映画だろう、と。仕上がりは非常に面白く、理詰めでありながらも原発をめぐる今の状況が的確に押さえられていくため、1500円の価値は十分にあったな、というのが本音でした。 
 
  何より、この映画は昨今のテレビ報道ができていない点を埋めるべく、異業種の弁護士が自ら立ち上がったというところに特色があります。特に、河合弁護士がところどころで自らホワイトボードに黒マジックで構造を図解しつつ、解説を入れるのです。こんなの普通のドキュメンタリー映画ではありえないですが、それがむしろ熱気を伝えてくれていたと思います。どうしても、これを伝えたいんだ、というその思いがぐっと胸に迫ってきました。もちろん、自ら現地を歩き、地元の町長や住民、さらには専門家たちを取材し疑問点を1つ1つつぶしていきます。そこが心地よいのです。やりたかった取材をやっているんだな、と。それが観客に伝わってくるのです。 
 
  映画の中に様々なデテールの発見がありましたが、1つだけ選ぶなら、東京電力が3・11の東日本大震災後盛んに訴えてきた「津波による想定外の状況で電源が停まって事故が起きた」という説明に疑問があるということです。実は津波が福島第一原発を直撃する直前に、巨大地震によって電源が故障していたのではないか、との疑問が専門家から指摘されているのです。こうした数々の疑問が解決されないまま、原発再稼働に向けて安倍政権は大急ぎで舵を切ろうとしています。あの頃のことを忘れないためにも、そして未来に禍根を残さないためにも今見ておきたい映画です。 
 
監督:     河合弘之(初監督作品) 
構成:     海渡雄一 
制作協力:   木村結(「東電株主代表訴訟」事務局長) 
音楽:     新垣隆 
脚本・編集・監督補:拝身風太郎 
 
■映画「日本と原発」公式サイト 
http://www.nihontogenpatsu.com/ 


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