2015年01月19日17時41分掲載  無料記事
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欧州

中村哲さんの道 軍事力とは違った処方箋

  日本では襲撃されたCharie Hebdoをヘイトスピーチを行う在特会になぞらえ、襲撃されたのには理由があり、表現の自由の制限もやむなし、という人が少なくない。しかし、今度は週刊新聞カナール・アンシェネに脅迫状が送られ、首を斧で切ると予告されたと言う。 
 
  これは個別の新聞・雑誌というより、フランス政府に対するイスラム原理主義勢力の作戦と見るべきではないか。というのはフランスのオランド大統領は就任直後からフランス軍のイスラム原理主義掃討作戦に積極的だったからだ。2013年1月にマリ共和国北部を占領したイスラム原理主義勢力を空爆と地上戦で駆逐したのを始め、昨年9月には米国が中心となる有志連合に加わってイラク領内のイスラム国を空爆している。 
 
  アメリカのジャーナリストやフランス人が首を切られる事件が起きているが、そこには<我々の領土から手を引け>、というメッセージがあった。フランスが軍事作戦をすればするほど、その報復と警告という形で市民が標的とされる事態が続く。そもそも9・11以後の米軍のテロとの戦いは成功しているとは言えないばかりか、むしろますます状況が悪化している。そんな中、日本はこうした軍事をベースにした有志連合に参加するのではなく、日本独自の道を模索した方がよいだろう。たとえばアフガニスタンの旱魃地に井戸を掘り、かんがい施設を地元のイスラム教徒とともに作ってきた中村哲さんのような行動である。 
 
  中村さんは食料と水を確保することが平和への道だと語っている。食料と水があれば難民にならずにすみ、武装勢力に加わらなくても生きていくことができる。そして、25キロに及ぶ用水路を完成させて農業を復興させた中村さんは建築学まで独学で学んで彼らの精神のよりどころとなるモスクとマドラス(学校)を建設した。そこでは青年時代に戦争でできなかった勉強をやりたいと言って子供に交じって多くの中年が参加したと言う。 
 
  西欧が軍事力をベースにした介入を取っているが、アジアに生きる日本人には違った支援が可能なのではないだろうか。中村さんは自らその道を世界に示している。 
 
■「アフガニスタン 干ばつの大地に用水路を拓く」 
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■テレビ制作者シリーズ1の2  谷津賢二さんのアフガニスタンからの報告 
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