2015年02月22日12時27分掲載  無料記事
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政治

戦後70年声明へ向けて 〜〜20年前の「戦後50年NGO声明」の紹介兼ねて 池住義憲

 2月19日、安倍首相が戦後70年の今年中に出す「安倍談話」について検討する”有識者”懇談会メンバー16人が発表されました。ほとんどが、安倍首相の歴史観に近い人物です。25日に初会合を開く、とのこと。過去の植民地支配への「痛切な反省」を表明し、歴代政権が引き継いできた戦後50年の村山首相談話(1955年8月15日)をどう評価し、継承していくのか・・・。 
 
 座して見ているわけには、いきません。市民の側から、動き出したいものです。名古屋では、本通信の末尾案内にある通り、来る3月1日(日)、「今、日本を問い直す」というテーマで集会が開催予定です。日本統治時代の1919年3月1日、京城(現・ソウル)中心部のパゴダ公園(現・タプコル公園)で起こった「三・一朝鮮独立運動」から96年を迎えるその日に、です。 
 
 今年は、韓国併合から105年、戦後70年、日韓条約50年という歴史的に重要な節目となる年。3月1日の集会がきっかけとなり、市民の側から具体的アクションが起こることを期待しています。 
 
今から20年前の1995年、当時私は、愛知県日進市にあるNGO(アジア保健研修所、AHI)の事務局長をしていました。そしてNGOの仲間と相談して「NGO関係者有志による戦後50年声明」を出しました。内容は次の五つでした。 
(1)わたしたちNGOの歴史認識 
(2)私たち日本のNGOとしての反省と謝罪 
(3)日本政府に対するアジア太平洋諸国への公式謝罪要求 
(4)犠牲者への個人補償と未解決問題の解決要求 
(5)私たちNGOの平和への決意表明 
 
 日本の64のNGOから計225名が賛同者として加わり、1995年8月1日、土井たか子衆議院議長(当時)と五十嵐広三官房長官(同)と直接面談し、声明を手渡しました。五十嵐官房長官からは「戦争についての調査部門を設置したい」との発言を引き出し、NGO声明から2週間後の8月15日に、あの「村山首相談話」が世界にむけて表明されました。 
 
 NGO声明は、日本語のほかに、ハングル、北京語、台湾語、ビルマ語、タガログ語、クメール語、ヴェトナム語、英語の8言語に翻訳し、アジア太平洋地域22ヵ国の在日大使館に送付しました。以下、その時の声明全文をご参考まで貼付します。 
 
 3月1日の集会、ご都合のつく方、集会においで下さい。さらにその前日の2月28日の集会も! 
 
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NGO関係者有志による「戦後50年」声明 
 
私たちアジア・アフリカ・ラテンアメリカなど世界各地で市民レベルの協力・協働・交流活動を進める日本のNGO関係者有志は、50年前までの朝鮮半島、台湾、中国等での植民地支配とアジア太平洋地域において日本の植民地支配を強化・拡張するために行われた全ての戦争(特に1931年の中国北東部への侵略にはじまる15年に及ぶアジア太平洋戦争)が日本国家によるアジア諸国及び太平洋諸島への侵略であったと認識しています。 
 
この歴史認識に立って、私たちは、そうした日本の植民地支配と侵略戦争の犠牲になったアジアおよび太平洋諸島の人たちに対し、心より謝罪します。また、日本社会は戦後50年の間、過去の戦争と侵略行為に対して明確な反省の意を態度で示さず、かえって朝鮮戦争はベトナム戦争に加担することで日本の経済的繁栄を築いてきました。これを容認してきたことを反省し、私たちは日本政府に対し、先の衆院本会議で採択された曖昧な戦後決議でなく、自らの犯した植民地支配と戦争犯罪についての明確な公式謝罪を、来る8月15日に行うことを要求します。 
 
また、戦後50年経った今もなお、日本軍によって強制された元軍慰安婦や強制連行で徴兵・徴発されたアジア太平洋地域の戦争犠牲者への個人補償、中国に遺棄した日本軍の化学兵器の処理など、未解決の問題が多く残されています。これらの問題解決は日本政府の当然の責務です。日本政府はそのために必要な具体的措置を速やかにとるように改めて要請します。 
 
最後に、私たちは次の50年を歩み出すに際し、日本国憲法の国際協調と戦争放棄の理念に則り、これまで以上に市民レベルの協力・協働・交流活動を進めることによって世界平和の創出に努めるとともに、永久不戦の決意をここに表明します。 
 
1995年8月1日(火) 
NGO関係者有志一同 
 
* * 
 
(以下、名古屋市内での二つの集会ご案内) 
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1.”イスラム国”人質事件と安倍政権の危険な動きを読み解く 名古屋集会 
日時: 2月28日(土)13:30〜16:30 (開場13:00) 
場所: 名古屋YWCA2階ビッグスペース 
(地下鉄「栄」駅東5番出口り東へ2分) 
内容: 
(1)特別報告・講演(映像を交えて) 
「イスラム国人質事件の背景と意味を読み解く 〜〜現地の視点から」 西谷文和さん(フリージャーナリスト、イラクの子どもを救う会代表) 
(2)経緯確認と問題提起 
「この間、何が進んだか 〜〜今後へ向けて」 
岩月浩二さん(弁護士、自衛隊イラク派兵差止訴訟名古屋弁護団) 
(3)質疑応答・話し合い 
費用: 1,000円(学生無料) 
主催: 自衛隊イラク派兵差止訴訟名古屋弁護団有志&同訴訟元原告有志グループ 
協力: 名古屋NGOセンター 
 
「イスラム国」邦人人質事件を機に、安倍首相は、再度、「切れ目のない安全保障法制を構築することで国民の命と幸せを守り抜く」と強調し、通常国会で安保法制成立(戦争立法)を急ぐ考えを表明しています。 
安倍政権は、集団的自衛権の行使に加えて、自衛隊による多国籍軍への後方支援の拡大、邦人救出・警護のための武器使用範囲の拡大、自衛隊の海外派兵を常に可能とする恒久法の整備、などに強い意欲を示しています。 
そもそも、なぜ今回の人質事件は起きたのか。「イスラム国」とはどのような背景・経緯で組織され、台頭してきたのか。今回人質事件が問うていること、事件から見えてきていることは何か。それに対する安倍政権の対応は、なぜ、どのように問題なのか。こうした重要な問題について、ご一緒に考えます。 
 
2. 「日韓(韓日)条約50年・敗戦70年: 今、日本を問い直す」 
〜〜3.1朝鮮独立運動96周年企画〜〜 
日時: 3月1日(日)13:30〜16:30 
場所: 東別院会館 蓮の間 
(地下鉄名城線「東別院」駅4番出口西へ徒歩5分) 
内容:(1)基調講演「今、日本を問い直す」 
内海愛子さん(恵泉女学園大学名誉教授) 
(2)課題提起「日韓(韓日)条約50年から考える今後の課題」 
高橋信さん(名古屋三菱女子勤労挺身隊訴訟を支援する会 共同代表) 
安世鴻さん(重重プロジェクト安世鴻日本軍「慰安婦」写真展実行委員会) 
韓基徳さん(NPO法人三千里鐡道 事務局長) 
費用: 800円 
主催: 「韓国併合100年」東海行動実行委員会 
 
今年は、日韓(韓日)条約締結から50年を迎えます。1965年に、当時日本の佐藤栄作首相と韓国の朴正煕大統領の間で調印されたものです。朝鮮半島の分断を固定化し、日本の植民地支配の歴史的事実を覆い隠す条約に人民が猛烈に反対し、十余年の歳月を経たのち強行的に調印されました。 
現在に至るも朝鮮半島は分断され、この条約を盾に日本は侵略行為の責任逃れとしています。この集会を通して、日韓条約50年から今私たちに問われていること、できることを考えていきます。 


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