2015年02月22日21時00分掲載  無料記事
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アフリカ

「イラク」と化したリビア 米誌アトランティックが「完全なる失敗の淵」と酷評 無責任な軍事侵攻の惨状 イスラム国の北アフリカの拠点に 誰一人責任を負わない米英仏首脳

  アメリカのアトランティック誌が「完全なる失敗の淵」として、米国などのリビア軍事介入後の惨状をレポートしている。http://www.theatlantic.com/international/archive/2015/02/egypt-bombs-isis-libya-beheading-video/385544/?utm_source=SFTwitter 
  「アラブの春」から4年、独裁者を倒せとたきつけて兵器を送り込み、イスラム過激主義者たちの暴力の原野にした責任を誰が取るのか。2011年、日本のマスメディアの多くも軍事介入とカダフィ政権打倒に同調していたはずだ。本紙においても、である。 
 
  アトランティックは悲鳴を上げる女たちの写真をつけている。エジプト人のコプト派(キリスト教徒)21人がリビアのトリポリ近郊で斬首されたからだ。イスラム国ではなく、リビアにおいてイスラム国の勢力が根づき、イスラム国と同調する行動が取られていることを示している。カダフィ時代にはあり得なかったことである。これら21人の誘拐されて殺されたエジプト人たちはリビア西部の油田での労働のためにリビアに出稼ぎに来ていたようだ。アトランティックによれば現在のリビアは軍事勢力が支配する東西に分裂し、統一国家の体をなしていないため、権力の隙間をついてイスラム国が入り込んで活動しているということのようだ。 
 
   独裁者だからと言って軍事侵攻して倒せば民主主義になる、というわけではない。今はカダフィ時代よりも暴力がはびこっている、国とは言えないすさんだ土地になってしまった。すでにイラクで経験済みだったはずである。権力の空白にイスラム原理主義勢力が入り込んでくるのはわかっていたことだ。それをリビアでもシリア(シリアの場合は武器と金だが)でも繰り返したのは何故なのか。オバマ大統領は軍事介入の責任を問われても仕方がないだろう。 


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