2015年03月23日16時43分掲載  無料記事
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核・原子力

【たんぽぽ舎発】原発再稼働の問題点、事故対策や防災体制なし、再稼働の合理性もなし 山崎久隆

 航空機事故であろうと列車事故であろうと、事故原因の究明と再発防止対策が出来なければ運行停止が当然。福島第一原発事故は本当の原因も解明されたとは言えず、再発防止など検討の域にすら達していない。東電も過去に起きた事故、例えば福島第二原発3号機事故では、再発防止対策がされなければ再稼働が出来なかった。 
 
 3.11以降は、原発で過酷事故は必ず起こり得るものとして、電力会社が対策を取ることは最低限の条件である。少なくても老朽炉を中心に廃炉とすべき原発が確実にいくつもある。特に第1世代及び老朽化により問題のある加圧水型軽水炉と沸騰水型軽水炉は全て動かすべきではない。(敦賀、女川1、島根1、東海第二、浜岡3、美浜1〜3、高浜1,2、大飯1,2、伊方1,2、玄海1,2、川内1,2) 
 
 それさえ守れない現状では、次の原発震災は日本を壊滅させるということを、国や電力及び「原子力ムラ」には繰り返し再認識させなければならない。 
 
 米国やヨーロッパの原発では原発の安全性対策と防災体制がセットで機能していなければ稼働できないとする考え方が一般的である。(IAEAの深層防護第5層)それでも形骸化や非現実的体制などの問題が多くあるのだが。 
 
 再稼働の前提条件としては、過酷事故対策が構築され、仮に福島第一原発事故以上が発生しても、被曝する前に住民を避難できるような体制を国が主導して作る必要がある。しかし実際には地方自治体に原子力防災を丸投げした状態である。 
いうまでもなく財政規模や人員配置などからも、実際には住民を守ることが出来ないことは誰の目にも明らかだ。 
 
 防災計画を策定するのならば、国が責任を負うべきだが「国と自治体は対等の立場」と言いつつ責任だけを自治体に丸投げしている。これで再稼働するのか、というのが実際のところ。各自治体住民こそが「命を守れない」と立ち上がるべきだ。 
 
◆再稼働の順番とは何か、再稼働の合理性もなし 
 
 川内原発の再稼働を最も早くすべき合理的理由は何もない。基準地震動の策定を規制委員会の要請どおりに620ガルに設定したことで、規制委の優先審査対象になったというだけだ。ところが途中から、火山ガイドラインなど川内原発にとって死活的重要な安全基準が必要になったのに、火山の専門家も参加させず、火山憤火予知連が噴火を予知(予測)することが困難としていたのに事業者(九電)が火山対策ができるという「作文」を出しただけで通ってしまった。川内の次も、なぜ高浜かという説明も合理的なものはない。言うまでもないが電力(エネルギー)不足などでは全くない。 
 
 どうして原発の再稼働が必要なのか、国のみならず自治体の首長や議会も住民に説明すべきである。特に立地自治体は周辺自治体に重大な危険をもたらす責任があるのだから、周辺自治体は立地自治体に対して納得できる再稼働容認の説明をさせなければならない。重大事故が起きる可能性がある以上、損害賠償についても再稼働を容認した自治体にも応分の負担(事故の賠償だけでなく保険金の負担なども含めて)をさせるべきだ。それでも原発を選びますか?と。 


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