2015年04月30日14時00分掲載  無料記事
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アフリカ

【西サハラ最新情報】国連安保理西サハラ最新決議 平田伊都子

 2015年4月28日(日本時間4月29日)、国連安保理で西サハラに関する決議が出されました。 あと1年、MINURSOミヌルソ国連西サハラ住民投票監視団の活動を更新し、「西サハラとモロッコ両当事者がNegotiationネゴ交渉をやって、平和的に解決策を模索しろ」というのが、新国連西サハラ決議です。 毎年、同じような国連安保理決議が出されても国連西サハラ住民投票は行われず、24年間という長きにわたって西サハラ難民は待ちぼうけをくわされています。 しかし、今年の国連安保理決議はいささか西サハラ難民をホッとさせました。 というのは、国連西サハラ住民投票を拒否するモロッコがミヌルソMINURSOという国連組織を廃止するようにと、国連に圧力をかけていたからです。 
 
(1)「40年はうんざり・ラストコロニ―」キャンペーン: 
2015年4月14日、ノルウェーの首都オスロでSAIHノルウェー識者国際援助財団が「40年はうんざり・ラストコロニー」キャンペーンをノルウェー全土と全欧州に呼びかけた。 
4月20日、「40年ウンザリ・キャンペーン」に呼応して、ヨーロッパ議会の西サハラ超党派グループがパン・ギムン総長に西サハラ民族自決権住民投票の即時組織化を迫った。 
4月22日、「49年ウンザリ・キャンペーン」に賛同して、パリにある17のNGO団体がオランド大統領に公開書簡を送った。書簡の中で「モロッコ占領地・西サハラでの人権侵害と政治囚不法拘束」を、強く非難した。国連安保理常任理事国の中でフランスだけが拒否権をちらつかせて、モロッコ占領当局の暴虐を庇い続けている。 
 
(2)アルジェリア、ルワンダ、AUアフリカ連合: 
4月22日、アルジェリアの首都アルジェで、アルジェリアを公式訪問していたルワンダ大統領ポール・カガメが、アルジェリア大統領ブーテフリカとの共同記者会見で西サハラ支持を改めて表明した。「一刻も早く、自由で公正な国連住民投票を通じて西サハラ民族自決権を行使させるように」と、国連事務総長パン・ギムンと国連事務総長個人特使クリストファー・ロスを促した。 
4月24日、ニューヨークの国連本部での国連核兵器廃絶地域委員会で、アフリカ諸国が、RASDサハラ・アラブ民主共和国を国連核兵器廃絶地域に指定するようにと提案した。AUアフリカ連合は西サハラ難民キャンプを拠点にしているRASDサハラ・アラブ民主共和 
国を、正式加盟国として承認している。 
 
(3)国連安保理決議: 
2015年4月28日、国連安保理が西サハラに関する決議を出した。MINURSOミヌルソ国連住民投票監視団の排除を期待したモロッコは、「100%、2014年版の踏襲決議で、進歩なし」と、ガッカリ表明をした。28日の夜から始まった西サハラ難民国際映画祭で、オマル西サハラ難民政府首相は国連がさらに1年、最後のアフリカ植民地・西サハラ紛争解決に関わることになったことを、報告した。とりあえず西サハラ難民は胸をなでおろし、砂に寝そべって、風で揺れる野外スクリーンに映し出される映画を楽しんだ。 
さて、3年来国連の斡旋を拒否して逃げ回るモロッコを、国連はどうやって交渉の席に戻せるのか? どんなアメとムチを用意できるというのだろうか? 
 
(4)FiSahara フィサハラ西サハラ難民国際映画祭: 
4月29日から5月3日にかけて、西サハラ難民センターから160キロも砂漠に奥深く入ったダハラキャンプで、恒例のFiSaharaフィサハラ西サハラ難民国際映画祭が開催中だ。 
今年のテーマは「脱植民地、(ラストコロニー脱却)」。外国人の参加者は、スペインの有名女優オーナ・チャプリンやアリアンダ・ジルや平和活動家たち。外国からの出品作品は、「トンブクトウ」(マリの監督シサコ)、「人間たちのライオン」「今が天国」、などなど。「村と海」、「スケイナ」という名の、西サハラ難民映画学校の生徒による短編映画も上映される。 
 2011年に創設された西サハラ難民映画学校では、14〜20人の難民青年たちが2年間かけて映像一般を学ぶ。一年に数本の短編記録映画を創って、FiSahara映画祭に出品する。FiSaharaは難民映画学校の卒業制作展にもなっている。 
 
 5月17日には<大阪都構想住民投票>が行われる。 今や、地域住民が自らその地域の未来を決める<住民投票>は、日本でも常識になってきた。 唯一、住民が意思表明できる<投票>なのに、日本では投票率が50%にも満たないこともあったりで、全く大事にされていないし、投票人は一票を有難く思っていない。 国民の投票無関心をいいことに、施政者はやりたい放題、、国民そっちのけで日本を私物化し、ひたすら自己宣伝に利用している。 国民が無視されているのは、国民が悪いからだ。 
 
一方、西サハラ住民は一票の権利を獲得しようと、40年間も国連と国際社会に必死に働き続けています。 私たち日本人は、一票の持つ大きな意味を考え直したほうがいいと、思いません?? 
 
 
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2015年4月30日 
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子 


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