2015年06月20日09時34分掲載  無料記事
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市民活動

1965年日韓文化財・文化協定から50年=2015年の課題

 日本による植民地時代に、朝鮮半島から日本へと流出した韓国・朝鮮文化財の返還問題に取り組む「韓国・朝鮮文化財返還問題連絡会議」が、6月1日付けで発行した2015年報(No.4)において、課題の解決方法を提案しています。(坂本正義) 
 
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【1965年日韓文化財・文化協定から50年=2015年の課題】 
 
〜 文化財返還めぐる不毛な混乱と不信に歯止めをかけ、新しいスタートを切るために研究者・市民の側から21世紀にふさわしい新協定提案を 〜 
 
 1965年6月22日に日本と韓国が「日韓基本条約の関係諸協定、文化財及び文化協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」に調印し(発効は同年12月18日)、考古品、図書等359件、1,321点が韓国に「引渡されて」からちょうど50年が経過します。 
 この間、1991年4月には「故李方子女史(英親王妃)に由来する服飾等の譲渡に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定」が調印されて、故李方子女史(英親王妃)に由来する服飾等227点が「特別措置」として「譲渡され」ました。 
 「併合100年」を機に出された2010年8月10日の菅総理談話(閣議決定)に基づき、同年11月14日に「図書に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定」が調印され、1,205点の図書が「引き渡」されました(発効は2011年6月10日、引き渡しは同年12月16日)。 
 
 他方、民間では、1996年に山口県立山口女子大学が「寺内文庫」の所蔵品の一部を韓国の慶南大学に引き渡し、2005年に靖国神社が「北関大捷碑」を韓国政府に引き渡し、その後、韓国から北朝鮮に移送、2006年に東京大学が「朝鮮王朝実録」をソウル大学に引き渡しました。数が多いとはいえませんが、日本側民間の篤志家が自発的に返還・寄贈したものもあります。 
 しかし、近年数万点におよぶ朝鮮半島由来の文化財が日本に散在することが明らかになり、一部が韓国・朝鮮への返還を求められています。これらの韓国・朝鮮側の要求をめぐって紛争も起き、日韓の深刻な不協和音となって、外交関係にまでダメージを与えています。文化財が両国の歴史リスクの一因となり、ナショナリズムを刺激し、互いに「反韓」「反日」を煽る結果となってきている現状は大変に残念で、放置しておくことが許されない事態に至っています。 
 
 そこで、過去半世紀の反省に立ち、文化財をめぐる紛争や対立を抑制・回避し、むしろ一層の文化交流を促進するために、日韓国交正常化50年を機に、以下のような趣旨で、「文化財及び文化協力に関する日本と韓国との間の新協定(追加協定)」(仮称)を提案し、働きかけることを提言したいと考えます。皆様からのご意見やご提案もお寄せください。 
 
1.「寄贈」「引き渡し」でなく、「返還」に用語の統一を 
  従来、日本側は「寄贈」「引き渡し」と述べ、韓国側は「返還」と説明していますが、誤解と齟齬を避けるために、元の場所や所有者に戻す際は、「返還」に用語を統一すべきではないでしょうか。 
 
2.返還・協力は「勧奨」でなく、「責務」「積極的関与」へ 
  1965年協定には「日本国民がその所有するこれらの文化財を自発的に韓国側に寄贈することは日韓両国間の文化協力の増進に寄与することにもなるので,政府としてはこれを勧奨する」ことが合意議事録に明記されていますが、実際には民間の文化財返還はほとんど進んでいません。そこで、新協定では、民間レベルでの文化財の調査・交流・返還が促進されるための政府側の責務と積極的な関与を明記することが必要ではないでしょうか。 
 
3.総合的な調査を共同で 
  日本にある朝鮮半島由来の文化財および朝鮮半島にある日本由来の文化財についての全体的な調査を両国の専門家が参加し、共同して行うことが不可欠です。新協定には「日韓共同文化財総合調査機関」(仮称)の設置を明記すべきではないでしょうか。 
 
4.民間任せにせず、国が関与し、紛争拡大予防へ 
  従来、民間所有の文化財の取り扱いは民間に委ねられてきましたが、文化財返還をめぐる問題が紛争化、深刻化してきている事態を受け、両国政府が積極的に関与・介入し、紛争の調停・裁定機能と権限を持つ独立的な委員会を設置し、合理的な解決を主導することを新協定に明記すべきではないでしょうか。 
 
5.返還の法的手続きの明確化と簡素化 
  上記の機構/委員会が「返還」を命じた場合、国が所有するものも、そのつど特別に協定を結ぶことなく、速やかに返還できるよう、国内法との関係も整理して、返還のルール・手順についても明記し、スムーズな返還を促すべきではないでしょうか。 
 
6.国際的なルールと水準の尊重 
  UNESCO(国連教育科学文化機関)が主導し、確立されてきた国際的なルールを尊重し、それらに準拠することを明記すべきではないでしょうか。共同の研究や文化財の活用も。 
 
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