2015年06月23日00時38分掲載  無料記事
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人権/反差別/司法

「慰安婦」問題の立法解決を求める会が日韓両首脳に要望書を提出

 「『慰安婦』問題の立法解決を求める会」が6月19日、日本の安倍首相と韓国の朴槿恵大統領に宛てて要望書を提出しました。(坂本正義) 
 
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 「慰安婦」問題の立法解決を求める会(共同代表=本岡昭次元参議院副議長、荒井信一茨城大学名誉教授)は6月19日、下記の安倍首相宛ての要望書を内閣府に提出しました。 
 午前11時に有光健事務局長らが内閣府を訪れ提出し、内閣府大臣官房総務課檀原均調査役は官邸への取次ぎを約束して受け取りました。 
 要望のポイントは「真実を認め、公式かつ率直に謝罪し、補償を含む名誉回のための立法措置を取る」ことです。 
 また、朴槿惠韓国大統領にも要望書を青瓦台HP・MSG窓口に送信するとともに、6月18日に投函しました。韓国側「慰安婦」調査資料などの日本側への提供、被害者との面談を強く要望しました。 
 なお、立法解決を求める会は、2013年3月28、29日にも両首脳に対して要望書を提出しています。 
 
<「慰安婦」問題の早期立法解決に関する要望書> 
 
 内閣総理大臣 安倍 晋三 様 
 
 「日韓国交正常化50年」「戦後70年」を迎えます。日本の指導者である内閣総理大臣の歴史認識、とりわけ「慰安婦」問題に関する姿勢に対して内外から厳しい批判と不安と疑念が寄せられています。 
 私たちは、かねてより「慰安婦」問題の解決のために立法措置が必要であると考え、提案してきました。総理大臣が変わる度に歴史に対する向き合い方が変わるようであれば、国際的にも信頼されません。 
 「河野談話」「村山談話」の踏襲で良いではないかという声もありますが、「河野談話」「村山談話」の延長線上にあった「女性のためのアジア平和国民基金」(アジア女性基金)では、問題を解決できず、混乱と不信を広げたまま、今日に至っています。巧みに国の責任をかわそうとする日本の「不誠実」の象徴と見られてきました。関係者も認めるとおり「アジア女性基金」は失敗でした。その反省の上に立って今後の対応を誠実に検討し、被害国・被害者と対話を重ねて解決を図るべきです。 
 ことは日本が引き起こした犯罪で、当時の国内法・国際法にも違反した極めて深刻な国際的な女性の人権問題です。日本の軍・民間業者による性暴力によって苛酷な人生を強いられ、今も苦悩の内に高齢の日々を送っておられる元「慰安婦」の女性被害者に思いを馳せ、不都合な歴史の事実をおおい隠すのではなく、真実を認め、公式かつ率直に謝罪し、補償を含む名誉回復措置を取ることこそ、日本のリーダーの取るべき態度です。 
 「胸が痛む」とか「お気の毒である」という表現は、加害者としての自覚を欠いた不十分な言葉です。この歴史的な人権問題を未解決にしたまま、近隣諸国との友好や未来を語ることは到底できないと考えます。 
 1990年代に名乗り出た被害者は、四分の一程度に減ってきて(例:韓国50人、台湾5人)、問題解決に向けての時間がいよいよ切迫してきています。 
 私たちは、「慰安婦」問題解決のための「戦時性的強制被害者問題解決促進法案」を総理が真摯に検討し、政府が閣法として提出することによって、民主主義と人権の基本に関わる問題に取り組む姿勢を明確にされるよう強く要望します。 
 
 2015(平成27年)年6月19日 
 
 「慰安婦」問題の立法解決を求める会 
  共同代表 本岡昭次・荒井信一 
 
 
<「慰安婦」問題の早期解決を求める要望書> 
 
 大韓民国大統領 朴 槿惠 貴下 
 
 朴正煕大統領が韓日国交正常化を実現されてから50年が経ちましたが、残念なことに韓日両国の関係は最悪といわれています。 
 原因が、日本側の「慰安婦」問題に対する不誠実な姿勢にあることは確かです。この問題は1990年代初頭に社会的に明らかになり、既に四半世紀が経過していますが、日本側の不誠実な対応のために、いまだに「慰安婦」問題の解決が果たせず、被害者が受けた心身にわたる深刻な被害が解除・軽減されていません。 
 私たちは、長年にわたり、日本政府の対応を批判し、解決策を提起し続けてきました。国連やILOなどの専門機関、各国議会は問題を深刻に受け止め、日本政府に繰り返し勧告や要望を重ねてきましたが、日本政府が無視し続け、現在までに解決に向けた進捗がないことを大変憂慮し、日本の市民として、被害を受けた被害女性や関係者および貴国に対しても深くお詫びいたします。 
 そうした認識と反省の上に立って、貴大統領には、この問題の解決のために、全力を挙げて取り組んでいただけますよう改めて強く要望いたします。なお、日本の安倍首相には別紙の要望書を提出しました。 
 
1. 日本政府が、韓国の「慰安婦」被害者だけでなく、「慰安婦」問題全般の検証を被害国や海外の専門家の参加を求めて実施し、その結果を内外に公表することを私たちは求めています。韓国政府が外交チャンネルを通じて、韓国の官民で収集・集積された全資料を積極的に日本政府に提供されるよう要望します。例えば、真相究明委員会が発行した「慰安婦」被害者の口述記録集は、韓国語版と英語版は刊行されていますが、予算不足で日本語訳はまだ刊行されていません。日本側の理解促進にご協力をお願いします。 
 
2. 日本の内閣総理大臣が被害者に公式かつ明快に謝罪し、国庫からの支払いを含む名誉回復措置を速やかに取ることを被害者とともに私たちも求めていますが、韓国政府も被害者をかかえる当事国政府として、被害者の人権と名誉を守るために、引き続き、強い態度で日本政府に提案を行い、外交交渉を行っていただけるよう要望します。 
 
3. 「慰安婦」被害者を抱える各国政府・関係行政組織・被害者団体・支援団体などとも十分意見・情報の交換を行い、連携して日本政府に対応いただけるよう要望します。特に、大統領ご自身が被害者らと面談し、直接体験と意見を聴聞し、支える決意を表明されることが極めて大切です。早急にそのような場を設けていただけますことを要請します。 
 
 2015年6月19日 
 
 「慰安婦」問題の立法解決を求める会 
  共同代表 本岡昭次・荒井信一 
 
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