2015年07月14日20時36分掲載  無料記事
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労働問題

国公労連が「2015国公青年セミナー」を開催

 国家公務員を中心に組織する国公労連(日本国家公務員労働組合連合会)は6月下旬、国公労連に加盟する単組の青年組織を担う中央・地方段階の若手組合員を都内に集め、2015国公青年セミナーを開催した。 
 国公青年セミナーは、々餮労働運動の日常活動を推進するための基礎知識を実践的に身に付ける、日頃それぞれの組織で取り組んでいる青年運動に取り組む上での悩みや問題点を語り合うなど相互交流を図ることを目的に開催している。 
 2006年に第1回目のセミナーを開催した後、国家公務員の定員削減とそれに伴う新規採用の抑制が影響して青年組織が存立し得ない加盟単組が増え、国公労連の青年組織「青年協議会」が活動休止に追い込まれたために中断期間を挟んでいるものの、昨年再開して今年で7回目を迎えた。 
 
<講演「国家公務員の労働条件はどのように決まるのか」> 
 
 今年のセミナーでは、公務員賃下げ違憲訴訟弁護団の山添拓弁護士が講師を務めて、若手組合員に「国家公務員の労働条件はどのように決まるのか」というテーマで講演した。 
(筆者注:公務員賃下げ違憲訴訟は、国家公務員給与臨時特例法により2012年4月から2014年3月末までの2年間、国家公務員の給与を減額支給したことが違憲であるとして国公労連などが起こした訴訟。現在、控訴審係属中) 
 
 講演の中で山添弁護士は、公務員の労働基本権が制約されている現状について疑問を問いかけた。 
「公務員は憲法15条2項(すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない)で全体の奉仕者とされています。公務員には地位の特殊性と職務の公共性があり、公務が停廃すると国民の利益に重大な影響が及ぶので、公務員の労働基本権は制約されるというのです。しかし、民間企業の社員がストライキを打っても国民の利益に重大な影響が及ぶはずです。そうでなければ、その企業は存在価値が無いということになります。つまり、何かしらの影響は及ぶとしても、それで公務員の労働基本権が制約されて良いと言えるのでしょうか。最高裁判例では、財政民主主義を理由にした労働基本権の制約も主張しています。公務員は国民の血税を貰って働いているのに、お上に楯突くとは何事かということで、公務員の地位の特殊性、職務の公共性、財政民主主義が相まって、公務員の使用者は国民全体なのだという議論になっています。その他、歯止めの欠如論など公務員の労働基本権制約を可とする議論がありますが、本当にそうなのかを皆さんには考えてほしい」 
「3年前に出された自民党改憲草案28条2項では、公務員の労働基本権は全部または一部を制限できると書いています。自民党は来年の参院選で多数を取った場合、憲法改正することを狙っているので、こういう条項を必ず入れてくるでしょう。自民党は何故、改憲草案にこういう条項を入れてくるのでしょうか。自民党は今、国民の反対が高まっている安全保障関連法案を成立させようとしています。しかし、自衛隊を国防軍に変えて積極的に海外へ戦争に出て行けるようにしたいのが安倍首相たちの狙いなので、今後、遠からず憲法改正が話題に上がってくるはずです。憲法改正が実現したら、公務労働者は戦争遂行のための環境整備に働かされることになります。そのときに『戦争反対だ』と言う国家公務員がいて、『労働組合の基本的権利だから』ということで団体交渉に持ち込まれたら政府としては困る訳です。自民党改憲草案に公務労働者の権利の制限という条項が入っていることは決して偶然ではなく、政府にとっては戦争を遂行するために欠かせない条項の1つになると言えます」 
 
<若手組合員からの質問> 
 
 講演後、若手組合員からの「公務員賃下げ違憲訴訟の東京地裁判決の内容から、訴訟の意義についてどのように思われますか」「労働条件をどのように決めていくべきかについて、労働基本権の回復が今後の目標になってくると思いますが、労働協約権が回復しても、私たち単組に実効性のある交渉が出来るかどうかという不安があります。今後に向けてどのような準備をしていくべきでしょうか」という質問に対し、山添弁護士は「鋭い質問ですね」と若手組合員に微笑みながら分かり易く説明した。 
「運動の成果によって、賃下げ期間を2年間で食い止めたことは自信を持ってもらって良いと思います。裁判を起こしていなければ、賃下げ期間は延長していたでしょう。政府は、震災復興のための予算を5年プランで立てていましたから、2年で賃下げを終了するのは整合性が取れません。賃下げの理由が震災復興の必要性からということであれば、当然延長が必要だったはずですし、闘ったからこそ、裁判の中で国も『2年だけだから』とか『7.8パーセントだけだから』と言い訳せざるを得なかった訳で、だからこそ3年目に突入する契機が無くなったのです」 
「労働基本権の回復について、交渉するけれども言いっ放しになるという今の制度下でどう闘うかは、なかなか先が見えない話ですけど、そもそも人事院勧告の位置付けはどうだったのかという点に立ち返っていかなければならないと思います。そして、交渉術を今のうちから順々に身に付けていくことが大事ですし、将来の労働基本権回復を見越して、どういう資料を引き出し、どういう言質を取っておくことが大事なのかを考えて、作戦を練り、実行していくことが必要です。また、直接の交渉以外での様々な運動に多くの国家公務員を結集させていくことも大事でしょうし、民間の状況を知っていくことも大事です。そうやって公務労働者の声を集めて精緻化し、対外的に情報発信していく機会も必要でしょう」 
 
<若手組合員による人事院・内閣人事局交渉&国会議員要請> 
 
 今回のセミナーの目玉は、セミナーに参加した約40人の若手組合員による人事院及び内閣人事局との交渉と国会議員要請で、若手組合員が「人事院交渉グループ」「内閣人事局交渉グループ」「国会議員要請グループ」の3グループに分かれ、人事院には初任給を始めとする青年公務員の賃金改善など賃金・労働条件について、内閣人事局には新規採用者の増員など青年層と国の機関の体制拡充について当局側と交渉し、また国会議員には青年公務員から見た深刻な職場実態を訴えて行政体制の拡充を要請した。 
 この結果は、実際に交渉や要請を実施した若手組合員が自ら記事を書き、国公労連オフィシャルブログ「くろすろーど」(http://ameblo.jp/kokkororen/)にアップロードしているのでご覧いただきたい。(坂本正義) 


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