2015年07月16日14時35分掲載  無料記事
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反戦・平和

住宅関係3団体が共同声明 人間と住宅の破壊をもたらす安保法制(戦争法案)の廃棄を

 住宅と貧困の問題に取り組む市民団体・NPOが国会で審議中の安保法制の廃棄を求める声明を出した。国会では与党の強行採決によって16日に衆議院本会議で同法案は可決。通過したが、同時に市民の阻止運動は各地で盛り上がり、各分野ごとに自分たちの抱える課題とつなげながら反対「住まいの貧困に取り組むネットワーク」、「日本住宅会議」、「国民の住まいを守る全国連絡会」の三者が共同で行った。(大野和興) 
 
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住宅関係3団体の共同声明 
人間と住宅の破壊をもたらす安保法制(戦争法案)の廃棄を 
 
安倍政権は、国民の圧倒的な反対の声を押し切り、また多くの憲法学者や専門家の指摘を無視し、安保法制を強行しようとしている。この法案は、明確に憲法に違反するだけでなく、平和をもたらすどころか、日本を再び戦争の危険にさらすものであり、我われは、法案の即時廃棄を求める。 
 
戦争は人間と住宅の最悪の破壊をもたらすものである。現代においては、とりわけ先の世界大戦での痛恨の教訓を忘れることはできない。日本の侵略戦争によって、中国、朝鮮、東南アジアをはじめとするアジア・太平洋地域では2千万人を超える人々が殺戮され、膨大な住宅が破壊されたのは70数年前のことである。 
 
日本では300万人を越す人々が、戦争によってかけがいのない命を落した。そして戦争によって直接失われた住宅は265万戸にのぼった。この中には、強制疎開による取り壊し住宅55万戸が含まれている。さらに、海外からの帰国・引揚げ者の住宅不足67万戸、戦時中の住宅供給不足が120万戸あり、1945年の終戦時には合計420万戸(戦災死による住宅減約30万戸を差し引いたもの)という絶対的住宅不足におちいったのである。全国の住宅(この当時の住宅数は1,450万戸)の実に約2割が戦争により破壊され、戦争による住宅不足と合わせ全住宅の3割に及ぶきわめて深刻な住宅難、住宅困窮が生じたのである。こうして、わが国では、数百万人の人々がホームレスに突き落とされたのである。 
 
この苦難と惨禍の上に、わが国の平和憲法が成立し、戦後の住宅復興が行われた。しかし、住宅政策が極めて不十分な中で、絶対的住宅不足の解消は戦後半世紀以上にも及んだのである。そして今また、住宅・居住政策の無策が続き、新たなホームレス、住まいの貧困が広がる今日にある。 
 
我われは、日本国憲法第25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」に基づく、すべての人々への住宅保障の実現を、第9条の順守と共に強く求める。また、戦争への道に突き進むのではなく、軍事費を大幅に削減し、公営住宅の新規建設、家賃補助制度の実施など住宅予算に充てることを要求する。 
住宅関係3団体は、人間と住宅の破壊をもたらす安保法制(戦争法案)の廃棄に向けて共同し、たたかう決意を新たにするものである。 
 
2015年7月14日 
 
日本住宅会議・理事長 塩崎賢明 
国民の住まいを守る全国連絡会・代表幹事 坂庭国晴 
住まいの貧困に取り組むネットワーク・世話人 稲葉剛 


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